小売業における店舗運営の課題・解決策やDXを導入する効果を解説
ニューノーマル時代に入り、消費者の購買行動も変化しています。この記事では、多店舗のスーパーマーケットを展開している企業や担当者に向けて、小売業が抱える課題や現状、解決策を解説します。また、店舗運営・課題解決に求められるスキルなども解説しているため、自社の課題を解決する際にぜひ役立ててください。
目次[非表示]
- 1.小売業の現状
- 1.1.モノが売りにくい
- 1.2.消費者の購買行動が変化している
- 1.3.消費者の選択基準が変化している
- 2.店舗運営における主な管理業務内容
- 3.店舗運営・課題解決に求められる能力・スキル
- 3.1.店舗運営・課題解決に求められる能力・スキル1.マーケティング力
- 3.2.店舗運営・課題解決に求められる能力・スキル2.コミュニケーションスキル
- 3.3.店舗運営・課題解決に求められる能力・スキル3.コスト管理スキル
- 4.小売業の店舗運営で求められている課題と現状
- 4.1.業務効率化
- 4.2.ECビジネスへの対応
- 4.3.接客マナーなどの教育
- 4.4.顧客データを有効活用
- 5.店舗運営の課題を解決するための方法
- 6.店舗運営の課題解決のためにDXを推進して顧客体験を高めよう
- 6.1.DXとは
- 6.2.小売業がDXを推進すると得られる効果
- 6.3.DXの導入が店舗運営の課題解決に至った事例
- 7.店舗運営の課題解決におすすめのサービス
- 8.まとめ
小売業の現状
まずは、小売業はどのような現状にあるのかを把握しておきましょう。現状を把握するためのポイントは以下の3つです。
モノが売りにくい
小売業ではモノが売れない、売りにくい時代と言われています。モノが売りにくいとされる要因の一つは、デフレーション(物価が継続的に下落する現象、以下デフレ)の影響です。物価が下落すると、企業の収益が減少し、倒産やリストラなどが起こります。すると消費者は消費を控えるため、企業はさらにモノの価格を下げます。また、他社との競争に勝つため、より安く質のいいモノの開発が進んでいきます。誰でも手頃な価格で質の高い商品を購入できるため、品質の高さだけではモノが売れなくなっているのです。
しかし、直近ではロシアによるウクライナ侵攻の影響を受け、原材料や燃料の高騰による物価上昇がみられます。グローバル化が進んだ現代では、国際情勢の影響が直接国内の物価にも影響を与えるようになりました。賃金上昇の伴わない物価上昇は、さらなる購買抑制を引き起こしかねません。
消費者の購買行動が変化している
コロナ禍で人々の生活様式は変化を余儀なくされ、消費者の購買行動にも変化が現れました。例えば、リアル店舗へ足を運んで買い物するスタイルから、ECサイトを利用するケースが増えています。ECをはじめオンラインを介した購買行動がニューノーマル(新常態)となった今、リアル店舗を主軸とする企業は、EC事業への参入やオンラインと連携した施策は避けられないのが実状と言えるでしょう。
消費者の選択基準が変化している
コロナ禍以降でも、スーパーマーケットに限ってはECサイトへの移行がそれほど見られませんでしたが、購入される品目には変化が見られます。飲食店の時短営業や在宅率の高まりにより、惣菜や時短調理が可能なセットなどが買われるようになりました。また、SDGsの浸透により、環境への影響などを考慮して選択する消費者も徐々に増えています。店舗を運営する企業は、顧客の生活スタイルや心情もくみ取ったうえで、品ぞろえや店づくりに反映していく必要があります。
店舗運営における主な管理業務内容
店舗運営にはさまざまな業務があります。主な管理業務の内容を簡潔に解説します。
売上管理
売上管理は、店舗運営において重要な業務です。売上管理では、日・週・月ごとの売上金額や客数、客単価を集計するだけでなく、分析も行う必要があります。分析した結果は、販売戦略を立てる際に活かされます。
仕入管理
仕入管理は、仕入量の適正化と仕入れのリスクマネジメントが主な目的です。仕入先を一本化して大量発注することで、価格の値下げ交渉を行ったり、より良い仕入先がないか、新たな仕入先を開拓したりすることが必要です。
在庫管理
在庫管理は在庫商品の適正化を目的としており、仕入管理との連携が欠かせません。適正な品、数の在庫管理によって仕入れの可否を判断することができます。過剰在庫になれば、廃棄ロスや無駄なコストを増やすことにつながり、在庫が足りなければ販売機会の喪失につながるため注意が必要です。
人材管理
人材管理は、店舗運営に必要な人員の配置を決めるための業務です。具体的には、シフトの作成が挙げられます。また、店舗を運営するために必要な人員が不足した場合は、人材の採用活動から新人教育まで行います。
接客管理
接客管理では、従業員の接客態度に問題がないかを監視し、必要に応じて適切な接客方法を指導します。接客は売上の最大化に大きな影響を及ぼすため、接客管理は店舗運営においても重要な業務と言えます。
店舗運営・課題解決に求められる能力・スキル
店舗運営や運営上の課題解決には、以下に挙げる能力・スキルが求められます。
店舗運営・課題解決に求められる能力・スキル1.マーケティング力
店舗運営・課題解決には、マーケティングスキルが不可欠です。市場の動向を調査したうえで、正確にデータを分析できるスキルが求められます。精度の高い分析結果をもとに販促施策や商品・価格の見直しなどを行うことで、高い効果を得ることができます。
店舗運営・課題解決に求められる能力・スキル2.コミュニケーションスキル
店舗運営では、従業員とのコミュニケーションは必須です。円滑なコミュニケーションを取り、従業員と良好な関係を構築することは、モチベーションアップや現場目線の課題把握にもつながります。また、店舗を運営しているうえで、クレーム対応は避けられません。クレームに対してどのように対応するのかで、企業イメージは左右されます。適切に対応できれば、企業イメージのアップはもちろん、従業員の信頼も得られます。クレーム対応のシーンでもコミュニケーションスキルが重要です。
店舗運営・課題解決に求められる能力・スキル3.コスト管理スキル
安定した店舗運営には売上だけでなく利益も追及していく必要があります。そのため、無駄を見極め、カットできるスキルが不可欠です。不要な経費を抑えることで、目標とする利益を達成しやすくなります。
小売業の店舗運営で求められている課題と現状
ここまで店舗運営・課題解決に求められる能力について解説してきました。しかしニューノーマル時代ではさらに求められることが増えてきています。昨今の店舗運営に求められている課題とはいったいなんなのでしょうか。それぞれの現状について詳しく解説します。
業務効率化
人手不足や、店舗に求められることの変化が激しい現状に対応するためには、効率的に業務を行っていく必要があります。多くの場合、売上管理や勤怠管理など、管理業務に時間が取られています。たとえば、アルバイトやパートなど雇用形態の種類が多く複雑化している場合は、勤怠管理の工数が増えやすくなります。また、情報管理の工数も増えています。LINEやメールなど気軽にコミュニケーションが取れるツールが増えたため、さまざまな手段でいろんな情報が店舗へ届いているためです。
ECビジネスへの対応
コロナ禍の影響により、ECサイトで商品を購入する消費者が増加しています。リアル店舗を持たずにWeb上で食品を販売する企業も少なくありません。小売業がニューノーマル時代に安定した経営を行うためには、ネットやデジタル技術を用いた新しいサービスや、マーケティング戦略が不可欠です。
接客マナーなどの教育
小売業では、慢性的な人手不足に悩む企業も多いと言われています。新人を雇用する度に従業員教育が必要ですが、教育には時間もコストも労力もかかります。また、教育以前に人材の募集や面接も必要ですが、現場はそもそも人手が足りておらず、十分な時間が捻出できずに円滑に進められないというのが現状です。
顧客データを有効活用
消費者の購買行動の変化が多いニューノーマル時代では、顧客データの分析が必須です。しかし、データの収集業務自体が煩雑で、時間がかかってしまい分析までできていないケースも少なくありません。
店舗運営の課題を解決するための方法
上記のような課題に対応するには、業務の効率化や生産性を高めて、業務に充てる時間を創出しなければなりません。そのためには、システム導入やオペレーションの見直しが必要です。
解決策1.システム導入で煩雑な業務を効率化
煩雑な業務の効率化はシステムの導入で解決できます。店舗管理システムなどを導入すると、売上報告や在庫管理、発注などの煩雑な業務をシステム一つで一元管理できるようになります。
また、専用のシステムを通じて本部と店舗を連携させることで、本部・店舗間の情報共有をスムーズに行えるため、運営業務の効率化につなげることも可能です。
解決策2.オペレーションの見直しで生産性を向上
オペレーションの見直しなどを行うことで、生産性の向上を目指せます。たとえば接客応対のマニュアル化や、品出し・補充・レジ業務などのルールを明確化しておくことで無駄な作業や迷う時間が減ります。さらに、業務の波や従業員の能力に合わせた人員の配置を行うことで、生産性の向上を図ることも可能です。生産性を向上させることができれば、浮いた時間を別の業務に活用できます。
店舗運営の課題解決のためにDXを推進して顧客体験を高めよう
店舗運営の課題を解決するためには、DXの推進が必要です。以下では、DXの概要や得られる効果、事例を紹介します。
DXとは
DXは「Digital Transformation」の頭文字を略した用語で、「デジタルによる変容」という意味で用いられています。DXの目的はデジタル技術の活用によって、ビジネスや消費者の生活の利便性を向上させることです。DXは政府も推奨しており、DXを推進する業界や企業が増えています。
小売業がDXを推進すると得られる効果
小売業でDXを推進した場合、業務を効率化できます。また、業務の効率化によって人手不足の解消につなげることも可能です。DXの推進によって得られる効果は、リアル店舗ならではの強みも活かせます。たとえば、店舗に商品や人の流れを読み取るリテールAIカメラを設置することで、売れ行きの良い商品の配置に活かしたり、一定時間立ち止まるお客様がいた場合従業員にアラームで知らせる機能で、接客サービスの向上に繋げるなどがあげられます。
DXの導入が店舗運営の課題解決に至った事例
スーパーマーケット「トライアル」では、レジを利用しないショッピングカートを導入しました。カートにはセンサーが設置されており、商品をスキャンしてカートに入れるだけで、購入手続き・決済を行える仕組みです。スキャンしていない商品がある場合はアラートが表示されるため、スキャン漏れのリスクにも対応できます。商品を選び終えた後にレジを利用する必要がないため、レジの人員削減のみならず、レジ待ちのストレス軽減から、来店の促進にもつながっています。
▽小売業のDX事例はこちらの記事にまとめました。
店舗運営の課題解決におすすめのサービス
ここでは、店舗運営の課題解決をサポートするサービスを2つ紹介します。
店舗matic
店舗maticは、本部と店舗間のコミュニケーションを円滑にするツールです。店舗maticの活用により、複数のツールを併用した際に起こりがちな確認漏れや、伝達ミスを未然に防ぐことができます。本部から受けた連絡を自動的に整理してToDoリストを作成する機能があります。結果として、その日にやるべきタスクを一目で把握できるため、従業員の業務効率化につながります。
>チェーンストア向けコミュニケーションツール「店舗matic」の資料を無料ダウンロード
売場ノート
売場ノートは、写真報告共有アプリです。スマートフォンのカメラで売り場の画像を撮影するだけで、本部へスピーディーに情報を共有できます。また、他の店舗の売り場の画像を確認できるため、好事例を各店舗で参考にしながら売り場の改善にも活かせます。本部側では、担当エリアごとの画像の収集や分類なども可能なため、報告書の作成など業務効率化に有効です。
まとめ
小売業における課題を解決するには、店舗運営ツールなどDX実現に向けたツールの導入が有効です。DXを推進することによって業務を効率化できれば、人手不足の解消につながります。さらに、空いた時間をより良い顧客体験を提供するための時間に充てられます。
株式会社ネクスウェイの店舗運営DXは、貴社の「らしさ追求DX」を支援するためのツールです。貴社のありたい姿の実現のために、本部や店舗間でのコミュニケーションや業務効率化、臨店などの課題の解決をサポートします。店舗運営の課題に悩まれているなら、気軽にお問い合わせください。