小売業における店舗運営の課題・解決策やDXを導入する効果を解説
ニューノーマル時代に入り、消費者の購買行動も変化しています。この記事では、多店舗のスーパーマーケットを展開している企業や担当者に向けて、小売業が抱える課題や現状、解決策を解説します。また、店舗運営・課題解決に求められるスキルなども解説しているため、自社の課題を解決する際にぜひ役立ててください。
目次[非表示]
- 1.店舗運営とは
- 2.小売業の現状
- 2.1.モノが売りにくい
- 2.2.消費者の購買行動が変化している
- 2.3.消費者の選択基準が変化している
- 3.店舗運営における主な管理業務内容
- 4.店舗運営・課題解決に求められる能力・スキル
- 4.1.マーケティング力
- 4.2.コミュニケーションスキル
- 4.3.コスト管理スキル
- 5.小売業の店舗運営によくある課題
- 5.1.人手不足に陥っている
- 5.2.ECビジネスへの対応に追われている
- 5.3.スタッフ教育の時間が取れない
- 5.4.顧客データを有効活用できない
- 5.5.多店舗展開で指示が伝わりづらい
- 6.店舗運営の課題を解決するための方法
- 6.1.解決策1.システム導入で煩雑な業務を効率化
- 6.2.解決策2.オペレーションの見直しで生産性を向上
- 6.3.DXとは
- 6.4.小売業がDXを推進すると得られる効果
- 6.5.DXの導入が店舗運営の課題解決に至った事例
- 7.店舗運営の課題解決におすすめのサービス
- 8.まとめ
店舗運営とは
店舗運営とは、各店舗のコンセプトに基づき、商品・サービスの企画から実施までを含めた店舗全体のマネジメントを行うことです。具体的には、店内のレイアウトや商品陳列を整える店づくりや、キャンペーンの企画・実施、POPの作成・掲示などの販促活動を含みます。また、売上目標を設定し、それを達成するための売上管理、人材育成やスタッフの研修など、スタッフ管理も行い、顧客満足度を高めることを目指します。店舗運営では、在庫管理も重要で、品切れを防ぐため適切な在庫数の調整を行います。
また、DXの推進により、業務改善や業務効率の向上を進めることで、集客効果や新規顧客獲得の成果が期待できます。例えば、アパレルやほかの小売業でも顧客の声やニーズを的確に捉え、売場や商品の詳細な調整を行うことで顧客満足度を上げることができます。DXを活用することで、今後はさらに顧客体験の向上を目指し、新しい取り組みを進めることが求められています。
店舗運営DXについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
店舗運営DXとは?注目を集める背景とともに具体的な手法や企業の事例を解説
基本的には店長が店舗運営を主導し、従業員に指示を与えて各種業務を進めますが、チェーン店などの規模が大きい場合には、スーパーバイザー(SV)が企画段階から関与し、複数店舗の統括管理を行うこともあります。
小売業の現状
まずは、小売業はどのような現状にあるのかを把握しておきましょう。現状を把握するためのポイントは以下の3つです。
モノが売りにくい
小売業ではモノが売れない、売りにくい時代と言われています。モノが売りにくいとされる要因の一つは、デフレーション(物価が継続的に下落する現象、以下デフレ)の影響です。物価が下落すると、企業の収益が減少し、倒産やリストラなどが起こります。すると消費者は消費を控えるため、企業はさらにモノの価格を下げます。また、他社との競争に勝つため、より安く質のいいモノの開発が進んでいきます。誰でも手頃な価格で質の高い商品を購入できるため、品質の高さだけではモノが売れなくなっているのです。
しかし、直近ではロシアによるウクライナ侵攻の影響を受け、原材料や燃料の高騰による物価上昇がみられます。グローバル化が進んだ現代では、国際情勢の影響が直接国内の物価にも影響を与えるようになりました。賃金上昇の伴わない物価上昇は、さらなる購買抑制を引き起こしかねません。
モノが売りにくい
小売業ではモノが売れない、売りにくい時代と言われています。モノが売りにくいとされる要因の一つは、デフレーション(物価が継続的に下落する現象、以下デフレ)の影響です。物価が下落すると、企業の収益が減少し、倒産やリストラなどが起こります。すると消費者は消費を控えるため、企業はさらにモノの価格を下げます。また、他社との競争に勝つため、より安く質のいいモノの開発が進んでいきます。誰でも手頃な価格で質の高い商品を購入できるため、品質の高さだけではモノが売れなくなっているのです。
しかし、直近ではロシアによるウクライナ侵攻の影響を受け、原材料や燃料の高騰による物価上昇がみられます。グローバル化が進んだ現代では、国際情勢の影響が直接国内の物価にも影響を与えるようになりました。賃金上昇の伴わない物価上昇は、さらなる購買抑制を引き起こしかねません。
消費者の購買行動が変化している
コロナ禍で人々の生活様式は変化を余儀なくされ、消費者の購買行動にも変化が現れました。例えば、リアル店舗へ足を運んで買い物するスタイルから、ECサイトを利用するケースが増えています。ECをはじめオンラインを介した購買行動がニューノーマル(新常態)となった今、リアル店舗を主軸とする企業は、EC事業への参入やオンラインと連携した施策は避けられないのが実状といえるでしょう。
消費者の選択基準が変化している
コロナ禍以降でも、スーパーマーケットに限ってはECサイトへの移行がそれほど見られませんでしたが、購入される品目には変化が見られます。飲食店の時短営業や在宅率の高まりにより、惣菜や時短調理が可能なセットなどが買われるようになりました。また、SDGsの浸透により、環境への影響などを考慮して選択する消費者も徐々に増えています。店舗を運営する企業は、顧客の生活スタイルや心情もくみ取ったうえで、品ぞろえや店づくりに反映していく必要があります。
店舗運営における主な管理業務内容
店舗運営は業務が多岐にわたります。 主な管理業務の内容を簡潔に解説します。
売上管理
売上管理は、店舗運営において重要な業務です。売上管理では、日・週・月ごとの売上金額や客数、客単価を集計するだけでなく、分析も行う必要があります。分析した結果は、販売戦略を立てる際に活かされます。
売上などの運用目標のKPIの決め方などについては、以下の記事で詳しく解説しています。
店舗の運営目標を決める指標とは?KPIの決め方などを徹底解説
仕入管理
仕入管理は、仕入量の適正化と仕入れのリスクマネジメントが主な目的です。仕入先を一本化して大量発注することで、価格の値下げ交渉を行ったり、より良い仕入先がないか、新たな仕入先を開拓したりすることが必要です。
在庫管理
在庫管理は在庫商品の適正化を目的としており、仕入管理との連携が欠かせません。適正な品、数の在庫管理によって仕入れの可否を判断することができます。過剰在庫になれば、廃棄ロスや無駄なコストを増やすことにつながり、在庫が足りなければ販売機会の喪失につながるため注意が必要です。
人材管理
人材管理は、店舗運営に必要な人員の配置を決めるための業務です。具体的には、シフトの作成が挙げられます。また、店舗を運営するために必要な人員が不足した場合は、人材の採用活動から新人教育、研修まで行います。
接客管理
接客管理では、従業員の接客態度に問題がないかを監視し、必要に応じて適切な接客方法を指導します。接客は売上の最大化に大きな影響を及ぼすため、接客管理は店舗運営においても重要な業務といえます。
販促活動管理
販促活動管理とは、店舗における集客や売上向上のために行うプロモーション活動全般を計画・実施・評価することです。具体的には、お店の商品を顧客に手に取ってもらうために、POPやチラシの作成と配布、キャンペーンの企画、SNSを活用した情報発信などが含まれます。効果的な販促活動のためには、ターゲット顧客のニーズを的確に捉え、タイムリーな施策を実行することが重要です。
店舗運営・課題解決に求められる能力・スキル
店舗運営や運営上の課題解決には、以下に挙げる能力・スキルが求められます。
マーケティング力
店舗運営・課題解決には、マーケティングスキルが不可欠です。市場の動向を調査したうえで、正確にデータを分析できるスキルが求められます。精度の高い分析結果をもとに販促施策や商品・価格の見直しなどを行うことで、高い効果を得ることができます。
コミュニケーションスキル
店舗運営では、従業員とのコミュニケーションは必須です。円滑なコミュニケーションを取り、従業員と良好な関係を構築することは、モチベーションアップや現場目線の課題把握にもつながります。また、店舗を運営しているうえで、クレーム対応は避けられません。クレームに対してどのように対応するのかで、企業イメージは左右されます。適切に対応できれば、企業イメージのアップはもちろん、従業員の信頼も得られます。クレーム対応のシーンでもコミュニケーションスキルが重要です。
コスト管理スキル
安定した店舗運営には売上だけでなく利益も追及していく必要があります。そのため、無駄を見極め、カットできるスキルが不可欠です。不要な経費を抑えることで、目標とする利益を達成しやすくなります。
小売業の店舗運営によくある課題
ここまで店舗運営・課題解決に求められる能力について解説してきました。しかしニューノーマル時代ではさらに課題が増えてきています。昨今の店舗運営の課題とはいったいなんなのでしょうか。それぞれの現状について詳しく解説します。
人手不足に陥っている
マイナビキャリアリサーチラボの調べによると、小売業の有効求人倍率は1.28と、求人の数が求職者の数よりも多く、雇用人員判断D.I.では-47と人材不足が過剰を上回っているため、慢性的な人手不足が伺えます。
参考:マイナビキャリアリサーチLab 小売業レポート(2024年5月)
人手不足に対応するためには、効率的に業務を行っていく必要があります。小売店などでは多くの場合、売上管理や勤怠管理など、管理業務に時間が取られています。たとえば、アルバイトやパートなど雇用形態の種類が多く複雑化している場合は、勤怠管理の工数が増えやすくなります。
管理業務に時間が取られると、日常業務が遅れるなど、運営全体に深刻な影響が発生してしまいます。
ECビジネスへの対応に追われている
コロナ禍の影響により、ECサイトで商品を購入する消費者が増加しています。リアル店舗を持たずにWeb上で食品を販売する企業も少なくありません。小売業がニューノーマル時代に安定した経営を行うためには、ネットやデジタル技術を用いた新しいサービスや、マーケティング戦略が不可欠です。
しかし、先ほどお伝えしたように人材不足などの影響で、なかなかECサイトを整備できない、対応できる人がいないのも課題の一つです。
スタッフ教育の時間が取れない
小売業では、慢性的な人手不足に悩む企業も多いと言われています。新人を雇用する度に従業員教育が必要ですが、教育には時間もコストも労力もかかります。また、教育以前に人材の募集や面接も必要ですが、現場はそもそも人手が足りておらず、十分な時間が捻出できずに円滑に進められないというのが現状です。
顧客データを有効活用できない
消費者の購買行動の変化が多いニューノーマル時代では、顧客データの分析が必須です。しかし、データの収集業務自体が煩雑で、時間がかかってしまい分析までできていないケースも少なくありません。
多店舗展開で指示が伝わりづらい
小売業で多店舗展開を行っている場合、各店舗への指示が適切に伝わらないことも多いです。
LINEやメールなど気軽にコミュニケーションが取れるツールが増えたため、さまざまな手段でいろんな情報が店舗へ届いてしまい、情報管理の工数も多くなってきています。
また、各店舗の店長が現場の運営と指示の状況確認などの管理を同時に行わなければならず、負担が増すことで指示が充分に徹底されないケースもあるでしょう。
店舗運営の課題を解決するための方法
上記のような課題に対応するには、業務の効率化や生産性を高めて、業務に充てる時間を創出しなければなりません。そのためには、システム導入やオペレーションの見直しが必要です。
解決策1.システム導入で煩雑な業務を効率化
煩雑な業務の効率化はシステムの導入で解決できます。店舗管理システムなどを導入すると、売上報告や在庫管理、発注などの煩雑な業務をシステム一つで一元管理できるようになります。
多店舗展開を行う企業では、店舗間での情報共有やコミュニケーションが円滑に進むように工夫が必要です。本部と店舗間での指示伝達がうまくいかないことがあり、その場合、全体の運営に影響が発生する可能性があります。LINEやSNS、メールなど、バラバラだった情報共有手段を一元化し、情報をスムーズに伝えるためのしくみを作ることが大切です。
また、店舗マネージャーが定期的に店舗を訪問して指示ができているかチェックしているなど、マネージャーの負担が大きい場合には、業務指示を一括で送ることができ、各店舗の実施状況や指示を確認したかの管理ができるグループウェアの導入も解決策として挙げられます。
店舗運営のコミュニケーションを円滑にするコミュニケーションツールについては、以下のページで詳しく解説しています。
解決策2.オペレーションの見直しで生産性を向上
オペレーションの見直しなどを行うことで、生産性の向上を目指せます。たとえば接客応対のマニュアル化や、品出し・補充・レジ業務などのルールを明確化しておくことで無駄な作業や迷う時間が減ります。
さらに、業務の波や従業員の能力に合わせた人員の配置を行うことで、生産性の向上を図ることも可能です。生産性を向上させることができれば、浮いた時間を別の業務に活用できます。
オペレーションを見直すためには、まずは現在の業務内容を可視化し、無駄な作業がないか、システムなどで効率化できる箇所はないか確認してみることが大切です。
店舗運営の課題解決のためにDXを推進して顧客体験を高めよう
店舗運営の課題を解決するためには、DXの推進が必要です。以下では、DXの概要や得られる効果、事例を紹介します。
DXとは
DXは「Digital Transformation」の頭文字を略した用語で、「デジタルによる変容」という意味で用いられています。DXの目的はデジタル技術の活用によって、ビジネスや消費者の生活の利便性を向上させることです。DXは政府も推奨しており、DXを推進する業界や企業が増えています。
小売業がDXを推進すると得られる効果
小売業がDXを推進することで得られるメリットは、業務の効率化と顧客体験の向上が挙げられます。デジタルツールの導入により在庫管理や販売分析の自動化が進み、現場スタッフはより重要な顧客対応に集中できるようになるでしょう。
また、顧客データを活用することで、パーソナライズされたサービスを提供し、満足度を高めることが可能です。
例えば、アパレルやほかの小売業でも顧客の声やニーズを的確に捉え、売場や商品の詳細な調整を行うことで顧客満足度を上げることができます。
これにより、売上の向上や無駄の削減が実現し、競争力を高めることができます。
DXの導入が店舗運営の課題解決に至った事例
スーパーマーケット「トライアル」では、レジを利用しないショッピングカートを導入しました。カートにはセンサーが設置されており、商品をスキャンしてカートに入れるだけで、購入手続き・決済を行えるしくみです。スキャンしていない商品がある場合はアラートが表示されるため、スキャン漏れのリスクにも対応できます。商品を選び終えたあとにレジを利用する必要がないため、レジの人員削減のみならず、レジ待ちのストレス軽減から、来店の促進にもつながっています。
▽小売業のDX事例はこちらの記事にまとめました。
店舗運営の課題解決におすすめのサービス
ここでは、店舗運営の課題解決をサポートするサービスを2つ紹介します。
店舗matic
店舗maticは、本部と店舗間のコミュニケーションを円滑にするツールです。店舗maticの活用により、複数のツールを併用した際に起こりがちな確認漏れや、伝達ミスを未然に防ぐことができます。本部から受けた連絡を自動的に整理してToDoリストを作成する機能があります。結果として、その日にやるべきタスクを一目で把握できるため、従業員の業務効率化につながります。
店舗マティックと他グループウェアとの違いなどについては、以下の記事で詳しく解説しています。
>小売業に特化した「店舗matic」とグループウェアの違いとは?
>チェーンストア向けコミュニケーションツール「店舗matic」の資料を無料ダウンロード
売場ノート
売場ノートは、写真報告共有アプリです。スマートフォンのカメラで売り場の画像を撮影するだけで、本部へスピーディーに情報を共有できます。また、他の店舗の売り場の画像を確認できるため、好事例を各店舗で参考にしながら売り場の改善にも活かせます。本部側では、担当エリアごとの画像の収集や分類なども可能なため、報告書の作成など業務効率化に有効です。
まとめ
小売業における課題を解決するには、店舗運営ツールなどDX実現に向けたツールの導入が有効です。DXを推進することによって業務を効率化できれば、人手不足の解消につながります。さらに、空いた時間をより良い顧客体験を提供するための時間に充てられます。
株式会社ネクスウェイの店舗運営DXは、貴社の「らしさ追求DX」を支援するためのツールです。貴社のありたい姿の実現のために、本部や店舗間でのコミュニケーションや業務効率化、臨店などの課題の解決をサポートします。店舗運営の課題に悩まれているなら、気軽にご相談 ください。