
店舗レイアウトの重要性とは。動線との関係性や設定する利点を解説
店舗のレイアウトは売上や顧客満足度に大きな影響を与えます。商品の陳列方法や配置などは、お客様にとって直接的な印象を与えるものの一つだからです。
特に、動線との関係性は非常に重要です。お客様が自然な流れで商品を見て回り、欲しい商品を見つけることができるようなレイアウトを設定することは、お客様の買い物体験を向上させるだけでなく、売上にも大きな影響を与えます。
この記事では、店舗レイアウトを考えるときのポイントとともに、適切な店舗レイアウトを実現するメリットなどを解説します。スーパーマーケットやそれ以外の業種での陳列のポイントも解説するため、ぜひ店舗レイアウト改善の参考にしてください。
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目次[非表示]
- 1.店舗レイアウトの重要性とは
- 2.店舗レイアウトを考えるうえで重要なポイントとは
- 2.1.できるだけ長く顧客が店舗にいるレイアウトを意識する
- 2.2.死角に注意する
- 2.3.商品が売れる場所を知っておく
- 2.4.AIDMAの法則を活用する
- 2.5.顧客の行動を分析する
- 2.6.店舗のコンセプトをレイアウトに反映させる
- 2.7.店舗レイアウトの主なパターンと特徴
- 2.7.1.グリッド型レイアウト
- 2.7.2.ループ型レイアウト
- 2.7.3.フリー型レイアウト
- 2.7.4.ミックス型レイアウト
- 3.店舗レイアウトは動線計画が売上アップのカギ
- 3.1.データを活用した店舗レイアウト最適化
- 3.1.1.AIカメラ・POSデータによる行動分析
- 3.1.2.ヒートマップで人気導線を可視化する
- 4.適切な店舗レイアウトを考えるメリットとは
- 4.1.顧客満足度が高くなる
- 4.2.効率的な販売が可能になる
- 4.3.店舗の差別化につながる
- 5.スーパーマーケットのレイアウト(陳列)のポイント
- 5.1.安全面に配慮する
- 5.2.作業効率を考慮する
- 5.3.購買意欲を掻き立てる
- 5.3.1.売りたいターゲットを決める
- 5.3.2.見せ方を工夫する
- 6.スーパーマーケット以外の業種での店舗レイアウトのポイント
- 6.1.物販店・量販店の店舗レイアウト
- 6.2.飲食店の店舗レイアウト
- 6.3.アパレルショップの店舗レイアウト
- 7.まとめ
店舗レイアウトの重要性とは
店舗レイアウトによって、お客様が商品を手に取る可能性は大きく変化します。お客様の購買は、計画購買と非計画購買に大別できます。計画購買とは最初から欲しいと思っていた商品を購入することです。それに対して非計画購買は、もともと予定していなかった商品を購入することを表します。
店舗で購入される商品の7~8割程度は非計画購買だと考えられています。お客様にとって商品が魅力的に見える店舗レイアウトを実現できれば、非計画購買により多くの商品を販売できる可能性が高くなるでしょう。
店舗レイアウトを考えるうえで重要なポイントとは
店舗レイアウトを考えるときは、さまざまなことを意識する必要があります。ここでは、店舗レイアウトにおける重要なポイントについて解説します。
できるだけ長く顧客が店舗にいるレイアウトを意識する
店舗レイアウトは顧客の滞在時間にも影響を与えます。なるべく滞在時間が長くなるように隅々まで回遊できる店舗レイアウトを実現できると、お客様が商品の購入を検討する機会も増やすことが可能です。
お客様の滞在時間を長くするためには、たとえば店舗の中央に低い陳列棚を設置するのもひとつの方法です。この場合、店舗の外や入口付近からは棚の商品が見えないため、お客様は店舗の中央まで進んだうえでじっくり商品を確認する必要があります。要所要所に季節商品や特売品を配置することも有効です。
死角に注意する
店舗内に死角がある場合、お客様は商品の存在に気づかない恐れがあります。たとえば、背の高い冷蔵ケースや陳列棚の後ろなどは死角になりやすいです。死角に魅力的な商品があってもお客様は認識できないため、売上につながりません。
死角を無くすためには、常に店舗レイアウトの状況をよく確認することが大切です。店舗レイアウトに関わっていない人材に店舗を確認してもらうと、死角を発見しやすくなります。どうしても死角になりそうな場所には、目立つ什器やPOPを設置しましょう。
商品が売れる場所を知っておく
店舗の中では、商品を並べると特に売れやすい場所があります。具体的には、店舗の奥が挙げられます。なぜならお客様は店舗の奥にたどり着くと方向転換のために立ち止まるからです。立ち止まるときは商品が目に入りやすいため、売りたい商品を置いておくと購入を検討してもらえる可能性が高いです。
ほかにもレジの近くに商品を陳列しておけば、会計の列に並んでいる間に購入を検討することが多いため試してみましょう。
AIDMAの法則を活用する
AIDMAの法則は、お客様が商品の存在を知ってから実際に購入するまでの心理を表しています。「Attention(認知する)」「Interest(興味をもつ)」「Desire(欲しいと思う)」「Memory(記憶する)」「Action(購入する)」の5つの単語の頭文字をとり、AIDMAと表現されています。アメリカのローランド・ホールが提唱しました。
AIDMAの法則を活用してお客様の心理をイメージすれば、より売れやすい店舗レイアウトを考えるためのヒントになります。
顧客の行動を分析する
店舗レイアウトの効果を高めるには、お客様の行動の分析も重要です。たとえば、お客様がどの陳列棚に注目したか分析すると効果的です。また、お客様の年齢や性別ごとに店内での行動を分析する方法もあります。店舗の前を通る通行人や来客数を把握し、来店率を予測するのもお客様の行動を分析する手段の1つです。
お客様の行動を簡単に分析できるさまざまなサービスも提供され始めているため、利用を検討するのもいいでしょう。
店舗のコンセプトをレイアウトに反映させる
店舗の売上を伸ばすには、お客様の動線を考慮した店舗レイアウトを考える必要があります。ただし、それだけでなく店舗のイメージやコンセプトを意識することも大切です。コンセプトにあわない店舗レイアウトにしてしまうと、ターゲットの好みにあわなくなる恐れがあるからです。
店舗レイアウトの主なパターンと特徴
店舗レイアウトには、業種や売り場の広さ、来店客の動線に合わせてさまざまな設計パターンがあります。目的は、商品を効率的に配置しながらも、顧客が自然に回遊しやすく購買意欲を高めることです。
ここでは代表的な4つのレイアウトタイプ「グリッド型」「ループ型」「フリー型」「ミックス型」について、それぞれの特徴と向いている業態を紹介します。
グリッド型レイアウト
グリッド型レイアウトは、陳列棚や什器を縦横に規則正しく並べるレイアウトです。スーパーやドラッグストア、コンビニなど、多くの小売店舗で採用されています。
通路を碁盤の目状に配置することで、限られたスペースを最大限に活用でき、在庫管理や導線設計が容易になる点がメリットです。一方で、回遊性が低く、目的買いに特化しやすいため、衝動買いを促す仕掛けを別途設ける工夫が求められます。
ループ型レイアウト
ループ型レイアウトは、店舗内に「一方通行の回遊ルート」を設け、来店客が自然に店全体を見て回れるようにする設計です。代表的な例としては、アパレル店、ホームセンターなどが挙げられます。
入口から出口までの動線が明確なため、すべての売り場を効率的に見せられるのが強みです。新商品や特売コーナーを動線の途中に配置することで、購買意欲を高める効果も期待できます。
フリー型レイアウト
フリー型レイアウトは、通路や棚の配置をあえて固定せず、自由度の高い空間設計を行うスタイルです。カフェやセレクトショップ、インテリアショップなど、雰囲気づくりや滞在体験を重視する店舗に向いています。
顧客が思い思いに歩き回れるため、滞在時間の増加やブランドの世界観訴求に効果的です。ただし、動線が複雑になると混雑や迷いを生む可能性があるため、視認性やサイン設計に配慮する必要があります。
ミックス型レイアウト
ミックス型レイアウトは、上記の複数パターンを組み合わせたハイブリッド型の設計です。
たとえば、メインの売り場をグリッド型で構成しつつ、入口や中央部分にフリーゾーンを設けるなど、売場の特性に応じて最適化します。
大規模商業施設や百貨店、家電量販店など、多様な商品カテゴリーを扱う店舗で多く採用されています。複数の動線を意図的に組み合わせることで、効率性と回遊性を両立させ、売上最大化を図ることができます。
店舗レイアウトは動線計画が売上アップのカギ
店舗を作るうえでは動線が重要です。動線が複雑だと顧客が目的の商品を見つけられないなどの影響が出やすくなります。お客様にとって移動しやすく、商品をスムーズに見つけられる動線を作る必要があります。お客様が店舗内で実際にどのように行動するかについては、あらかじめ設定した動線が大きな影響を与えます。
店舗レイアウトは、まずお客様にとって最適な動線を考えたうえで設定しましょう。お客様が自然な流れで商品を見て回ることで、商品を見逃すことがなくなり、購買点数が増える可能性があります。動線はお客様目線で考えますが、店舗で働いているスタッフの動線も考慮しなければなりません。
スタッフがお客様とぶつからずに業務を進められるよう、配慮することが大切です。動線を工夫することで無駄のない動きをしやすくなれば、お客様に対してよりよいサービスを提供しやすくなります。
データを活用した店舗レイアウト最適化
近年の店舗運営では、感覚や経験だけに頼らず、データに基づいて売り場を改善する「データドリブンな店舗設計」が主流になりつつあります。
来店客の行動データを分析することで、どの商品がどの位置で売れやすいのか、どのルートを多くの人が通るのかを把握でき、科学的に効果的なレイアウトを導き出せます。
ここでは、AIカメラやPOSデータ、ヒートマップを活用した最適化手法を紹介します。
AIカメラ・POSデータによる行動分析
AIカメラやPOS(販売時点情報管理)データを活用することで、来店客の属性や行動パターンを可視化できます。AIカメラは、入店者数・滞在時間・性別・年代などをリアルタイムで解析し、売り場ごとの混雑状況や来店傾向を把握するのに役立ちます。
一方、POSデータは、購入商品や時間帯、購買頻度といった販売実績を分析できるため、売上データと行動データを掛け合わせることで、「どの導線上にある商品が売れやすいのか」「どの棚が手に取られにくいのか」といった具体的な改善ポイントを明確にできます。
これにより、より効果的な商品配置やプロモーション設計が可能になります。
ヒートマップで人気導線を可視化する
ヒートマップ分析は、来店客の動線や滞在時間を色分けして可視化する手法です。AIカメラやビーコンなどのデータをもとに、どのエリアに人が集中しているか、逆に立ち寄られにくい「デッドスペース」がどこかを直感的に把握できます。
たとえば、赤い部分が最も人が集まる場所、青い部分が通行量の少ない場所として表示されるため、視覚的に改善ポイントを見つけやすいのが特徴です。
この分析結果をもとに、人気商品の陳列位置を変えたり、デッドスペースに試食やキャンペーンコーナーを設けたりすることで、売り場全体の回遊性と購買率を高めることができます。
具体的な店舗の分析については、以下の記事でも詳しく解説しています。
>>>店舗分析とは?方法・流れ・成功のポイントをわかりやすく解説
適切な店舗レイアウトを考えるメリットとは
適切な店舗レイアウトを考えると、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、具体的なメリットについて解説します。
顧客満足度が高くなる
店舗レイアウトを整えるとお客様にとって利便性が高まるため、顧客満足度も高くなります。お客様が商品を見つけやすく自然な流れで移動できることで、ストレスを軽減させ、その店舗への印象もよいものになります。
効率的な販売が可能になる
適切なレイアウトによって、商品を陳列する場所や量を最適化できます。また、動線を考慮したレイアウトによって、お客様がより多くの商品を見て回ることができるようになり、購買点数が増える可能性があります。
店舗の差別化につながる
適切なレイアウトによって、お店やブランドの特徴を強調したり、商品をより魅力的に見せたりすることができます。また、競合他社とは異なる独自のレイアウトを考えることで、お店の個性を際立たせることにつながります。
スーパーマーケットのレイアウト(陳列)のポイント
スーパーマーケットで店舗レイアウトを考えるときは、さまざまなポイントがあります。具体的なポイントについて解説します。
安全面に配慮する
スーパーマーケットにはたくさんの商品を陳列するため、安全面にしっかり配慮しましょう。たとえば、過剰な量を載せていないかチェックしたり、高いところにある商品が落下する恐れがないか確認したりする必要があります。
また、狭い場所で人がぶつかる可能性についても考慮すべきです。お客様が安全に買い物できる店舗レイアウトを意識しましょう。
作業効率を考慮する
商品を大量に並べればインパクトが出るため、お客様の目を引く効果を期待できます。この場合、品出しの頻度が少なくなり、作業効率が上がるというメリットもあります。
また、あえて入荷したときと同じ状態で陳列したり、什器をそのまま使ったりするのもひとつの方法です。品出しにかかる手間や時間を省けるため、スタッフにかかる負担が少なくなります。EDLPとよばれる形態の店舗ではこういった手法がよく見られます。
購買意欲を掻き立てる
売上を上げるには、お客様の購買意欲を掻き立てる陳列を意識する必要があります。ここでは、お客様の購買意欲を掻き立てるための具体的な手法について解説します。
売りたいターゲットを決める
商品を売るには、ターゲットや目的を決めることが大切です。「どこで」「誰に」「何を」「いつ」「どのくらい」といった細かい設定を考えましょう。これらを具体的に定めると、ターゲットが商品を購入したいと思う可能性が高い効果的な陳列を実現しやすくなります。商品を購入するお客様の立場に立って陳列方法を検討してください。
見せ方を工夫する
商品に対してお客様に興味をもたせるには、見せ方を工夫すべきです。たとえば陳列面を増やして商品を大量に陳列すると、注目を集めやすくなります。見やすくて手にとりやすい「ゴールデンライン」に商品を並べるのも効果的です。ゴールデンラインの位置は身長によって変わるため、ターゲットにあわせて調整しましょう。
また、商品は中央または右側に配置すると購買率が高まるといわれています。中央は左右よりも視認率が高いため、商品が売れやすくなります。他にも日本では右利きの人が多いので、右側にある商品は手に取りやすいです。
陳列棚の中で視線を集めるポイントを作ると、メリハリが出て販促につながります。さらに、店舗の中に特別な商品を集めて紹介する「マグネットコーナー」を作るのもおすすめです。たとえば、特売品や限定品などを集めて陳列しましょう。
スーパーマーケット以外の業種での店舗レイアウトのポイント
ここでは、スーパーマーケット以外の業種で意識すべき店舗レイアウトのポイントを解説します。
物販店・量販店の店舗レイアウト
物販店や小売店ではたくさんの商品を扱っているため、すべての商品がしっかり見えるように並べる必要があります。背の高い大きな棚を用意し、商品を見やすく配置しましょう。ジャンルでわけて並べるのもポイントです。また店舗内のどこに何があるのかわかりやすく、スムーズに商品を探せる動線にすることも大切です。
商品同士を組み合わせた陳列や、イベントスペースの設置など、お客様に楽しい買い物体験を提供することも大切です。
飲食店の店舗レイアウト
飲食店では、お客様が店頭でメニューを確認して入店するかどうか検討します。店舗の外に向けてメニューをわかりやすく表示しましょう。またお客様に満足してもらうためには、居心地がいい空間を提供しつつ、スピーディに料理を運ぶ必要があります。店舗内で人がぶつからないよう配慮しながら動線を決めることが重要です。厨房からの食事の香りや音にも注意したほうがよいでしょう。
アパレルショップの店舗レイアウト
アパレルショップでは、お客様がもともと購入を検討している商品以外にもさまざまなものを見てもらえるようにしましょう。店舗の中央に商品を飾るための棚や什器を配置し、レジは店舗の奥に設置しているパターンが多いです。
このような店舗レイアウトにすれば、お客様は目当ての商品を手に取った後、店舗内を1周しないとレジへたどり着けません。レジへ向かう間にほかの商品に興味をもってもらえる可能性があります。
またトレンドを取り入れたコーディネート例を掲示し、購買意欲を刺激することも大切です。サイズ別の陳列、色別の陳列など、扱う商材の特性によって陳列に工夫することもよいでしょう。
まとめ
店舗レイアウトは、売上を上げるための重要な要素です。業種によって陳列の仕方などに違いはありますが、どの業種でもお客様の利便性や快適性を最優先に考えたレイアウトを設計することで、顧客満足度や利益にプラスの影響を与えることができます。お客様の動線を意識した店舗レイアウトを考え、より多くの商品に興味をもってもらえるようにしましょう。
レイアウトや導線は、店舗ごとに特性があるため、ある程度店舗任せになるのは当然です。本部では、適時レイアウトを確認しアドバイスしていくことが求められます。
株式会社ネクスウェイでは、レイアウトや売場確認が簡単にできる売場ノートというアプリを提供しています。写真のやり取りによる、本部や店舗同士のコミュニケーションの促進につながります。より効率的な店舗運営を実現するために、お気軽にお問い合わせください。
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