VMDを徹底解説!初心者でも分かる基本の考え方と活用方法
小売業では、VMDというマーケティング手法が注目されています。VMDとは単なる装飾や陳列方法ではなく、顧客の視覚に訴えるビジュアル的なマーケティングです。この記事では、VMDについて知りたいと思っている人に向けて、VMDの基礎知識や実装方法、VMDの考え方などについて徹底解説します。ぜひ、参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.VMDとは
- 1.1.VMDの具体的な内容
- 1.2.DP(ディスプレイ)との違い
- 2.VMDに欠かせない3つの要素
- 3.VMDを自店で実践する方法
- 4.【業種別】VMDの実践事例
- 5.コロナ以降のこれからの時代に求められる新たなVMDの考え方
- 6.まとめ
VMDとは
VMDとは、ビジュアルマーチャンダイジング(visual merchandising)を略した言葉です。
日本ビジュアルマーチャンダイジング協会は、ビジュアルマーチャンダイジングを次のように定義しています。
「ビジュアルマーチャンダイジングとは文字どおりマーチャンダイジングの視覚化である。それは企業の独自性を表わし、他企業との差異化をもたらすために、流通の場で商品をはじめすべての視覚的要素を演出し管理する活動である。この活動の基礎になるものがマーチャンダイジングであり、それは企業理念に基づいて決定される。」
視覚的に消費者の感性や感覚に訴求し、購買を促進することを目的としています。また、陳列だけでなく、商品の外装や店舗の内装・什器等の視覚的な要素すべてをコントロールすることで、企業やブランドの世界観を店舗で表現し、その企業らしさを体現する目的もあります。
VMDの具体的な内容
VMDとは視覚的に消費者の感性や感覚に訴求する手法です。陳列方法や演出方法などによって、顧客の購買意欲を刺激するマーケティング技法です。
例えば、なんとなく入りやすいお店や、季節感が演出されていてワクワクしてしまうお店などはVMDが効果的に実践されている例です。また店外からみて、ひと目でお店の雰囲気やコンセプトが伝わるお店も、VMDがうまく機能している例といえます。
VMDが実践されているお店では、それぞれの商品が見やすいだけでなく、導線も考えられています。多くの商品を手にとったり見ているうちに、店内の奥まで誘導したり、販売強化商品の前に誘導することが可能です。
DP(ディスプレイ)との違い
VMDとDP(ディスプレイ)の違いがわからないという人も多いでしょう。DPとは、VMDの一部であり商品を見栄えよく魅力的に陳列することを指します。一方、VMDは陳列だけでなくマーケティング活動全般を指します。
VMDでは、どんな人をターゲットとして、どのようにおすすめ商品の前で足を止めてもらうか、店内を見て回ってもらうか、購買意欲を刺激するためにはどんな施策が必要か、など商品の購買につなげるすべての要素を検討しなければいけません。装飾や陳列だけでなく、それらの施策によって売上向上やその企業らしさの表現などを実現することが目的です。つまり、DPはVMDを行うための手段の1つと考えられるでしょう。
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VMDに欠かせない3つの要素
VMDを考える上で欠かせない要素があります。それは、VP(ビジュアルプレゼンテーション)・PP(ポイント・オブ・セールス・プレゼンテーション)・IP(アイテムプレゼンテーション)の3つです。ここでは、各要素について解説します。
VP(ビジュアルプレゼンテーション)
VPとは、企業のブランドコンセプトやイメージ、季節ごとのテーマや重点商品などをビジュアル的に表現することです。店舗内でもっとも視覚効果の高い場所で行うもので、一般的には店舗の入り口付近の売り場づくりやメインステージなどの売り場づくりに用いられます。
VPはいわば、「店舗の顔」を作るもので、企業やブランドのイメージ、伝えたい世界観などを示すものです。顧客の第一印象を決める重要な要素ともいえるでしょう。顧客を店内に誘導するための導線の役割も果たすので、他店との差別化や魅力的な見せ方が重要となります。
PP(ポイント・オブ・セールス・プレゼンテーション)
PPとは、特定の商品を選んで行われるもので、壁や天井、陳列棚などを利用したアピール方法です。一部のスペースを使って、特に重点的に売上を促進したい「おすすめ商品」を目立たせるような演出をします。おすすめ商品や人気のある商品などが見つけやすくなり、顧客の購買意欲を刺激する効果が見込めるでしょう。
PPは店内をいくつかの区画に分けて、その区画内でもっとも目につきやすく視覚効果の高い場所で行います。スペースごとにピックアップアイテムを選んで演出することで、その区画にどのようなアイテムがあるのかわかりやすくなる、見出しとしての役割もあります。
IP(アイテムプレゼンテーション)
IPとは、アイテムつまり個々の商品をアピールするための手法です。商品がバラバラに陳列されていると、顧客は何がどこにあるのかわからずに、目当ての商品を探しにくくなってしまいます。IPを意識してアイテムを見やすく、かつ手に取りやすく陳列することで、顧客が商品を選びやすくなります。
IPは、VPやPPによって誘導された顧客が、お目当ての商品を手に取りやすくするために必要な要素です。商品を分類・整理して、規則性を持って商品を配置することにより、どこに何があるかわかりやすくなり、ストレスのない円滑な購買体験を顧客に提供できます。
VMDを自店で実践する方法
前項で紹介したVP・PP・IPの3つの要素は、顧客が店舗に入店して購買に至るまでの導線づくりであることをしっかりと理解しましょう。VMDは、顧客の目を引くような装飾、陳列などが目的ではありません。3つの要素の最終目的は、あくまでも商品の購入だということを意識して、売り場の構成を改善しましょう。
また、VMDではパッと見の陳列や装飾といったその場の感覚的なものに頼るのではなく、計画・実施・分析という工程を経ることが大切です。
店頭データやPOSデータを活用することも効果的です。顧客の購買行動や趣味嗜好などの分析、企業の販売戦略や商品戦略などのさまざまなデータを収集・分析して、分析結果に基づいたVMD計画を実施することで効果が増幅します。
【業種別】VMDの実践事例
実際にVMDを活用する際に、どのように活用すればよいのかわからない人も多いでしょう。ここでは、食品スーパーとアパレル店でのVMD実践事例を紹介します。ぜひ、参考にしてください。
【食品スーパー】VPを効果的に活用した店頭装飾
あるスーパーでは、野菜や果物の陳列方法を工夫しています。野菜をより色鮮やかに見せるためにスポットライトを当て、顧客の購買意欲をかきたてる仕組みです。また、木に実っているようにブドウを吊り下げて陳列し、生産地に思いを馳せるような演出効果や、季節感を演出しています。遠くからでも売場が見つけやすい効果もあります。
また別のスーパーでは、各店舗によってテーマを決めています。例えば、テーマパークのように人形などを飾るなど、小さな子どもでも飽きずに買い物できるような工夫をしている店舗もあります。買い物の場や時間を楽しいものにしたいというブランド戦略が反映されています。
店舗はお客様とコミュニケーションをとる重要な場です。スーパーのようにEC売上比率が少なく店舗がメインである場合は、店舗での印象がその企業のイメージを大きく左右することになります。
【アパレル店】PPを効果的に活用した配置
あるアパレル店では、これまでジャケットやブラウス、ボトムスというように商品ジャンルごとにハンガーで陳列して、商品を探しやすくしていました。しかし、ハンガーでの陳列では商品の色しか視覚的に捉えることができません。
この問題点を解決するために、ジャンルごとの陳列は崩さずに、特に注目してほしいアイテムを正面に配置し、商品の形やデザインなどが判別できるようにしています。IPを効果的に活用した陳列方法により、顧客の購買意欲を刺激して、スムーズな購買導線を作り出すことが可能です。
コロナ以降のこれからの時代に求められる新たなVMDの考え方
新型コロナウイルス感染症が落ち着きましたが、EC化率の上昇など、消費者の行動は変化しています。VMDにおいても、これまでにはない考え方も求められています。以下では、これからの時代に求められるVMDの考え方について解説します。
ECやWEBページのブランドイメージを反映させる
店舗を訪れる前にWEBページやECサイトで検索する、という顧客はコロナ以前より増えています。これまで別物として考えられてきた店頭とWEBですが、今後は統一された表現を意識することが必要です。
顧客がイメージに対して齟齬を抱かないよう、客観的な分析で店舗づくりを意識することが求められます。
ソーシャルディスタンスを意識した店舗や導線作り
あまり意識しなくなったソーシャルディスタンスですが、コロナ以前のような密な場に抵抗を抱く人もいまだにいらっしゃいます。そのため、店舗でも顧客同士が十分な距離を確保できるような導線作りの重要性が高まっています。顧客の購買行動を分析し、アフターコロナに適した導線を検討することが大切です。
デジタル活用もよい方法です。例えば、店内カメラによるモニタリングで購買導線を検討できたり、AIで店内の人数をカウントし混雑時には自動で入店規制をしたりするシステムなどがあります。
まとめ
VMDは、店舗の陳列方法や演出方法を事前に計画して実行するものです。その計画が成功したのかそうではなかったのか、成功したのであればなぜうまくいったのかなどを分析することが必要です。分析の結果を他のシーズンや店舗にも応用し、成功事例を増やすことが可能になります。
分析するためには、自店のVMDを記録して蓄積することや、VMD担当が確認してフィードバックを行うこと、つまり「売り場づくりのPDCA」が重要です。その結果として、そのお店らしさとして差別化が図れ継続的に安定した利益を上げられるようになります。時差なくスピーディなPDCAサイクルを回すためには、店舗・本部も負担なく売り場状況を報告・確認する仕組みを取り入れることが必要になります。
ネクスウェイでは、チェーンストア企業向けの売場写真共有アプリ「売場ノート」を提供しています。店舗からの売場写真報告と本部のフィードバックをストレスなく行えることで、VMDのPDCAを回すことが可能になります。また店舗の売場写真を全店舗が相互に確認できることで、他店の良い例を取り入れ自店に活かす好循環によって、全店でのVMDレベルの向上が期待できます。VMDのコミュニケーションや報告チェック作業の効率化などに課題を感じられているご担当者様は、ぜひ資料をご覧ください。
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