VMDを徹底解説

VMDを徹底解説!初心者でも分かる基本の考え方と活用方法

小売の現場で「最近、ECにお客様が流れている気がする…」「売り場作りまでが回らない…」そう感じたことはありませんか?

そんな今こそ見直したいのがVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)です。VMDとは単なる装飾や陳列方法ではなく、顧客の視覚に訴えるマーケティング手法です。この記事では、店舗運営に欠かせないVMDの基本知識や実装方法を、初心者の方にもわかりやすく解説します。売場の見せ方や商品配置を工夫するだけで、売り上げが変わる。その理由と実践方法を詳しく見ていきましょう。


10社の事例


目次[非表示]

  1. 1.VMDとは
    1. 1.1.VMDの具体的な内容
    2. 1.2.DP(ディスプレイ)との違い
  2. 2.VMDの基本知識|欠かせない3つの要素VP・PP・IP
    1. 2.1.VP(ビジュアルプレゼンテーション)
    2. 2.2.PP(ポイント・オブ・セールス・プレゼンテーション)
    3. 2.3.IP(アイテムプレゼンテーション)
  3. 3.VMDを自店で実践する方法
    1. 3.1.顧客導線を意識した商品配置
    2. 3.2.計画・実施・分析
    3. 3.3.スタッフの負担を減らす「ルール化」
  4. 4.【業種別】VMDの実践事例
    1. 4.1.【食品スーパー】VPを効果的に活用した店頭装飾
    2. 4.2.【アパレル店】PPを効果的に活用した配置
  5. 5.ECとの競争・人手不足のこれからの時代に求められる新たなVMDの考え方
    1. 5.1.ルール化しECやWEBページのブランドイメージを反映させる
    2. 5.2.店舗ならではの「感情に訴える空間演出」
  6. 6.まとめ|VMDの基本知識を武器に、選ばれる店舗へ

VMDとは

VMDとは、ビジュアルマーチャンダイジング(visual merchandising)を略した言葉です。

日本ビジュアルマーチャンダイジング協会は、ビジュアルマーチャンダイジングを次のように定義しています。
「ビジュアルマーチャンダイジングとは文字どおりマーチャンダイジングの視覚化である。それは企業の独自性を表わし、他企業との差異化をもたらすために、流通の場で商品をはじめすべての視覚的要素を演出し管理する活動である。この活動の基礎になるものがマーチャンダイジングであり、それは企業理念に基づいて決定される。」

視覚的に消費者の感性や感覚に訴求し、購買を促進することを目的としています。また、陳列だけでなく、商品の外装や店舗の内装・什器等の視覚的な要素すべてをコントロールすることで、企業やブランドの世界観を店舗で表現し、その企業らしさを体現する目的もあります。また、売れる導線を設計することもVMDの役割です。


VMDの具体的な内容

VMDとは視覚的に消費者の感性や感覚に訴求する手法です。陳列方法や演出方法などによって、顧客の購買意欲を刺激するマーケティング技法です。


例えば、なんとなく入りやすいお店や、季節感が演出されていてワクワクしてしまうお店などはVMDが効果的に実践されている例です。また店外からみて、ひと目でお店の雰囲気やコンセプトが伝わるお店も、VMDがうまく機能している例といえます。

VMDが実践されているお店では、それぞれの商品が見やすいだけでなく、導線も考えられています。多くの商品を手にとったり見ているうちに、店内の奥まで誘導したり、販売強化商品の前に誘導することが可能です。


DP(ディスプレイ)との違い

VMDとDP(ディスプレイ)の違いがわからないという人も多いでしょう。DPとは、VMDの一部であり商品を見栄えよく魅力的に陳列することを指します。一方、VMDは陳列だけでなくマーケティング活動全般を指します。


VMDでは、どんな人をターゲットとして、どのようにおすすめ商品の前で足を止めてもらうか、店内を見て回ってもらうか、購買意欲を刺激するためにはどんな施策が必要か、など商品の購買につなげるすべての要素を検討しなければいけません。装飾や陳列だけでなく、それらの施策によって売上向上やその企業らしさの表現などを実現することが目的です。つまり、DPはVMDを行うための手段の1つと考えられるでしょう。


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VMDの基本知識|欠かせない3つの要素VP・PP・IP

VMDを考える上で欠かせない要素があります。それは、VP(ビジュアルプレゼンテーション)・PP(ポイント・オブ・セールス・プレゼンテーション)・IP(アイテムプレゼンテーション)の3つです。ここでは、各要素について解説します。


VP(ビジュアルプレゼンテーション)

VPとは、企業のブランドコンセプトやイメージ、季節ごとのテーマや重点商品などをビジュアル的に表現することです。店舗内でもっとも視覚効果の高い場所で行うもので、一般的には店舗の入り口付近の売り場づくりやメインステージなどの売り場づくりに用いられます。


VPはいわば、「店舗の顔」を作るもので、企業やブランドのイメージ、伝えたい世界観などを示すものです。顧客の第一印象を決める重要な要素ともいえるでしょう。顧客を店内に誘導するための導線の役割も果たすので、他店との差別化や魅力的な見せ方が重要となります。


PP(ポイント・オブ・セールス・プレゼンテーション)

PPとは、特定の商品を選んで行われるもので、壁や天井、陳列棚などを利用したアピール方法です。一部のスペースを使って、特に重点的に売上を促進したい「おすすめ商品」を目立たせるような演出をします。おすすめ商品や人気のある商品などが見つけやすくなり、顧客の購買意欲を刺激する効果が見込めるでしょう。


PPは店内をいくつかの区画に分けて、その区画内でもっとも目につきやすく視覚効果の高い場所で行います。スペースごとにピックアップアイテムを選んで演出することで、その区画にどのようなアイテムがあるのかわかりやすくなる、見出しとしての役割もあります。


IP(アイテムプレゼンテーション)

IPとは、アイテムつまり個々の商品をアピールするための手法です。商品がバラバラに陳列されていると、顧客は何がどこにあるのかわからずに、目当ての商品を探しにくくなってしまいます。IPを意識してアイテムを見やすく、かつ手に取りやすく陳列することで、顧客が商品を選びやすくなります。


IPは、VPやPPによって誘導された顧客が、お目当ての商品を手に取りやすくするために必要な要素です。商品を分類・整理して、規則性を持って商品を配置することにより、どこに何があるかわかりやすくなり、ストレスのない円滑な購買体験を顧客に提供できます。

3つをバランス良く取り入れることで、顧客の視線を導き、購買行動につなげる設計が可能になります。


VMDを自店で実践する方法

顧客導線を意識した商品配置

前項で紹介したVP・PP・IPの3つの要素は、顧客が店舗に入店して購買に至るまでの導線づくりであることをしっかりと理解しましょう。VMDは、顧客の目を引くような装飾、陳列などが目的ではありません。3つの要素の最終目的は、あくまでも商品の購入だということを意識して、売り場の構成を改善しましょう。

「入口→特設→売れ筋→会計」など一連の流れを意識することで、自然に「買わせる」導線を設計できます。

計画・実施・分析

VMDはパッと見の陳列や装飾といったその場の感覚的なものに頼るのではなく、計画・実施・分析という工程を経ることが大切です。

店頭データやPOSデータを活用することも効果的です。顧客の購買行動や趣味嗜好などの分析、企業の販売戦略や商品戦略などのさまざまなデータを収集・分析して、分析結果に基づいたVMD計画を実施することで効果が増幅します。

スタッフの負担を減らす「ルール化」

PP/IPの考え方をマニュアル化することで、ブランドイメージの統一が図れ、熟練したスタッフがいなくても一貫性のある売場作りが可能になります。


【業種別】VMDの実践事例

実際にVMDを活用する際に、どのように活用すればよいのかわからない人も多いでしょう。ここでは、食品スーパーとアパレル店でのVMD実践事例を紹介します。ぜひ、参考にしてください。


【食品スーパー】VPを効果的に活用した店頭装飾

あるスーパーでは、野菜や果物の陳列方法を工夫しています。野菜をより色鮮やかに見せるためにスポットライトを当て、顧客の購買意欲をかきたてる仕組みです。また、木に実っているようにブドウを吊り下げて陳列し、生産地に思いを馳せるような演出効果や、季節感を演出しています。遠くからでも売場が見つけやすい効果もあります。


また別のスーパーでは、各店舗によってテーマを決めています。例えば、テーマパークのように人形などを飾るなど、小さな子どもでも飽きずに買い物できるような工夫をしている店舗もあります。買い物の場や時間を楽しいものにしたいというブランド戦略が反映されています。

店舗はお客様とコミュニケーションをとる重要な場です。スーパーのようにEC売上比率が少なく店舗がメインである場合は、店舗での印象がその企業のイメージを大きく左右することになります。


【アパレル店】PPを効果的に活用した配置

あるアパレル店では、これまでジャケットやブラウス、ボトムスというように商品ジャンルごとにハンガーで陳列して、商品を探しやすくしていました。しかし、ハンガーでの陳列では商品の色しか視覚的に捉えることができません。


この問題点を解決するために、ジャンルごとの陳列は崩さずに、特に注目してほしいアイテムを正面に配置し、商品の形やデザインなどが判別できるようにしています。IPを効果的に活用した陳列方法により、顧客の購買意欲を刺激して、スムーズな購買導線を作り出すことが可能です。


ECとの競争・人手不足のこれからの時代に求められる新たなVMDの考え方

リアル店舗では今、次のような課題を抱えています。

・ECに顧客が流れ、来店数が減少
・人手不足で売場作りに手が回らない
・本部からの販促指示が現場にうまく伝わらない

これらの課題に対し、これからの時代に求められるVMDの考え方について解説します。


ルール化しECやWEBページのブランドイメージを反映させる

店舗を訪れる前にWEBページやECサイトで検索する、という顧客が増えています。これまで別物として考えられてきた店頭とWEBですが、今後は統一された表現を意識することが必要です。
顧客がイメージに対して齟齬を抱かないよう、ルール化することで、少ないリソースでも効果的な売場づくりができるようになります。


店舗ならではの「感情に訴える空間演出」

ECでなんでも買える時代に、わざわざ店舗に足を運ぶ理由は、それが体験として価値があるからです。予想を超える演出、ワクワクする店づくり、そんな期待をもって店舗に来店されます。

その期待を裏切らない感情に訴える演出が、より求められるようになっていくと思われます。


まとめ|VMDの基本知識を武器に、選ばれる店舗へ

VMDは、店舗の陳列方法や演出方法を事前に計画して実行するものです。その計画が成功したのかそうではなかったのか、成功したのであればなぜうまくいったのかなどを分析することが必要です。分析の結果を他のシーズンや店舗にも応用し、成功事例を増やすことが可能になります。

分析するためには、自店のVMDを記録して蓄積することや、VMD担当が確認してフィードバックを行うこと、つまり「売り場づくりのPDCA」が重要です。その結果として、そのお店らしさとして差別化が図れ継続的に安定した利益を上げられるようになります。時差なくスピーディなPDCAサイクルを回すためには、店舗・本部も負担なく売り場状況を報告・確認する仕組みを取り入れることが必要になります。

ネクスウェイでは、チェーンストア企業向けの売場写真共有アプリ「売場ノート」を提供しています。店舗からの売場写真報告と本部のフィードバックをストレスなく行えることで、VMDのPDCAを回すことが可能になります。また店舗の売場写真を全店舗が相互に確認できることで、他店の良い例を取り入れ自店に活かす好循環によって、全店でのVMDレベルの向上が期待できます。VMDのコミュニケーションや報告チェック作業の効率化などに課題を感じられているご担当者様は、ぜひ資料をご覧ください。

▼販促指示・売場演出の共有・報告をスムーズにし、VMDの」実行精度を上げる売場ノートは下記よりご覧ください

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安田美弥子
安田美弥子
株式会社ネクスウェイ 販売支援事業部。 2018年3月入社。以前は直営店を多店舗展開するメーカー勤務。店舗・本部両方を経験し、小売業をITの力でもっと魅力ある業界にしたいと思いネクスウェイに入社。平日はオペラや歌舞伎鑑賞、土日は山・海に出かけ、止まれない回遊魚のような生活を送る。

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