チェーンストア業界の今年一年を振り返る

2012年もいよいよ年末が近くなって来ました。業種によっては、まさにこれから繁忙期を迎える企業も多いのではないでしょうか?
さて、チェーンストア業界でも、2012年は様々な出来事がありました。私が今年、特に気になった3つのトピックスについてご紹介したいと思います。

目次[非表示]

    1. 0.1.海外進出企業の増加
    2. 0.2.店舗へのタブレットの導入
    3. 0.3.O2Oの浸透


海外進出企業の増加

日本でも人気の讃岐釜揚げうどん店「丸亀製麺」が、2012年3月24日に中国1号店を出店しました。特にプロモーションなどは行わなかったものの、オープン早々から人気となり、平日700~800人、土日1,000~1,200人のお客様が来店されています。これは日本の繁盛店に引けを取らない数字です。

丸亀製麺は中国に進出するにあたり、リサーチを行ったそうです。中国に進出しているマクドナルドやケンタッキーなどのファストフード店の価格を参考に、販売価格を決定したのです。日本で人気が出た理由である「普通の人が利用でき、低価格でお腹いっぱいになれる」ことを、中国でも崩さなかったことが、人気の理由ではないでしょうか。

この3月の初出店を皮切りに、中国ではすでに5店舗が営業しています。そして同年12月には、新たにインドネシアへの進出も決定しました。インドネシアは世界第4位となる2億4,000万人の人口があります。

中国は今後、アメリカを超える消費大国に向かっていくと言われています。また中国以外の東アジア諸国も、インドネシアを始めとして多くの人口を抱えています。この大きな海外市場に参入する企業は、今後ますます増えていく流れでしょう。そして進出する際は、丸亀製麺のようにしっかりと現地の状況をリサーチすることが、求められますね。


店舗へのタブレットの導入

iPadをはじめとしたタブレット端末も、チェーンストア業界に影響を与え始めています。セレクトファッションショップ「BEAMS」は全店で約250台のiPadを投入し、活用しています。

BEAMSではこれまで、季節ごとに取り扱う商品が変わるたびに、全店にカタログを配布していました。このカタログをiPadで見られるようにラインナップサイトを作成することで、最新の製品情報を、リアルタイムに、スタッフ全員が共有できるようになりました。
また、接客時にiPadを利用することで、お客様が求めている商品の検索が可能になりました。お客様と一緒にiPadを見ながら探すことで、スムーズに商品の紹介もできるようになったと言います。

さらに、iPadを店舗から本部への報告にも利用しています。
BEAMSではVMDの統一を徹底しています。これまでは店舗をデジカメで撮影し、PCに取り込み、画像を添付して、本部に報告をしていました。これをiPadで写真を撮り、iPadからメール送信という方法に変更しました。この方法であれば、店舗の負担もかなり軽減されるでしょう。

iPad導入前に配布していたカタログの印刷代、紙代はあわせて年間1,000万円かかっていましたが、ラインナップサイトの作成と維持費は、店舗インフラも含めて年間500万円で済み、大きなコスト削減に成功しました。

スタッフの商品知識向上、接客時にはお客様への提案、店舗業務の負担軽減、そしてコスト削減。たったひとつの端末を導入しただけで、これだけの効果が出たのです。皆さんの会社の店舗でも、きっと効果を発揮してくれるのではないでしょうか?


O2Oの浸透

最近はO2O(オンライン・トゥ・オフライン)で、新たな市場を開拓しようという動きが活発になってきました。大手カラオケチェーン「シダックス」の施策は、スマートフォンと連携させた先進的な成功事例です。

シダックスでは、スマートフォン向けのアプリケーションを配信しています。このアプリケーションを起動させると、スマートフォンのGPS機能を利用して、近隣店舗の一覧が表示されるようになっています。そして行きたいお店を選択すると、クーポンが入手できるという仕組みです。そしてこのクーポンは、18:00~24:00までに入室した場合に使うことができる、時限クーポンになっています。

これには「飲み会の2次会に利用して欲しい」という狙いがあります。2次会では食事やアルコールの注文があり、客単価が高いからです。

スマートフォンの普及により、1次会が終わった直後に2次会の場所を探す、という消費者行動が増えてきました。そういう顧客に「リアルタイムに的確な情報を提供できれば、来店の可能性を高められる」と言います。実際にクーポンを入手した約3割のお客さんが、来店されているそうです。
スマートフォンのクーポンなら、お店が来て欲しいと思っている時間に、特定の店舗への来店を促すことが可能になります。シダックスではこのアプリを活用することで、チェーン全体で月間1,000万円を超える増収効果が出ているそうです。
いかにしてうまくオンラインで情報を提供して、オフラインの店舗に来ていただけるのか。スマートフォンを利用すれば、さらに精度が上がりそうですね。

以上、私が2012年の特に気になった3つの出来事をご紹介させていただきましたが、皆様にとってはどのようなことが印象に残る1年だったでしょうか。年末に繁忙期を迎える方にとってはこれからが本番だと思いますが、ぜひ元気に乗りきっていただけたらと思います。



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