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人時生産性とは何?スーパーマーケットにおける生産性向上のポイントや注意点

スーパーマーケットの経営において、「人時生産性」の向上は重要な要素のひとつです。人手不足や採用難の時代を迎え、働き方改革を考えるうえで触れられることも多くなりました。この記事では、人時生産性の概要や、スーパーマーケットにおける人時生産性向上のポイントなどについて解説します。人時生産性について詳しく理解したいと考えている担当者の方は、ぜひ参考にしてください。


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目次[非表示]

  1. 1.人時生産性とは?
  2. 2.人時生産性と人時売上高・労働生産性の違いとは?
    1. 2.1.人時生産性と人時売上高の違い
    2. 2.2.人時生産性と労働生産性の違い
  3. 3.人時生産性が重要視される背景とは
  4. 4.人時生産性の計算式と具体例
  5. 5.人時生産性を算出するメリットとは?
  6. 6.スーパーマーケットの人時生産性を計算・分析するときのポイント
  7. 7.スーパーマーケットの人時生産性を向上させるための方法
    1. 7.1.付加価値作業における向上方法
      1. 7.1.1.人件費を削減する
    2. 7.2.単純作業における向上方法
      1. 7.2.1.従業員を適材適所に配置する
    3. 7.3.付帯業務における向上方法
      1. 7.3.1.無駄な作業を削減する
  8. 8.スーパーマーケットの人時生産性を向上させる際の注意点
    1. 8.1.改善の根拠となるデータが正確か確認する
    2. 8.2.従業員の意見も拾い上げる
    3. 8.3.運営側のオペレーションを改善する
  9. 9.まとめ


人時生産性とは?

人時生産性は生産性の評価基準のひとつで、従業員1人が1時間で上げた粗利益を示す指標です。数値が高いほど、効率的に利益をあげられているため、その企業の経営は良好であると判断できます。逆に数値に減少傾向がみられるようならどこかに問題があると考えられ、改善を検討しなければならないでしょう。

スーパーマーケットの経営において人時生産性を分析することで、より細かい人の動きや問題点を明らかにできます。


人時生産性と人時売上高・労働生産性の違いとは?

人時生産性に似た用語として「人時売上高」と「労働生産性」があります。それぞれの用語の違いも確認しておきましょう。


人時生産性と人時売上高の違い

人時売上高は、従業員1人が1時間にどれだけ「売上高」を獲得しているのかを示すものです。「売上高÷総労働時間」で算出され、同じ業種間での生産性を比較したいときなどによく使用されます。

あくまでも総労働時間に対する売上高の割合を示す数値であるため、かかったコストは反映されていません。人時生産性と人時売上高はどちらも経営状況を判断するうえで大切な指標であることから、両者を組み合わせて分析するケースも多くみられます。


人時生産性と労働生産性の違い

労働生産性も人時生産性と混同されやすい用語ですが、労働生産性は投入した労働資源に対する成果を示す指標です。具体的には労働者人数あたり、もしくは労働時間あたりの成果を把握できます。

つまり、労働生産性は成果や労働量の基準により単位が様々です。一方で人時生産性は従業員1人につき1時間でどれだけ稼ぎ出すのかを示す数値であり、より人の動きを分析する上で厳密な指標です。


人時生産性が重要視される背景とは

公益財団法人 日本生産性本部が発表した「労働生産性の国際比較 2020」のデータによると、日本の時間あたりの労働生産性はOECD加盟国37カ国のなかで21位です。この結果は主要国のなかでは最下位であり、アメリカの水準に比べると6割程度でしかありません。

1970年以降、主要先進7カ国のなかで最下位が続き、国際競争に打ち勝つためには多くの企業で生産性の向上が求められます。

また、法改正による働き方の変化や、今後の労働人口減少が予測される現状にあって、生産性向上は重要な課題です。

※参考:労働生産性の国際比較 2020|公益財団法人 日本生産性本部


人時生産性の計算式と具体例

人時生産性の計算式は「従業員全員の粗利益高÷総労働時間」です。

具体的に以下のようなケースで考えてみましょう。

【スーパーA:鮮魚部門】

・粗利益高:540万円

・総労働時間:600時間

⇒人時生産性:粗利益高540万円÷総労働時間600時間=9,000円


【スーパーA:青果部門】

・粗利益高:600万円

・総労働時間:750時間

⇒人時生産性:粗利益高600万円÷総労働時間750時間=8,000円


粗利益高は青果部門の方が高いのですが、人時生産性を見ると鮮魚部門の方が高いことがわかります。つまり、より効率的な運営が実現できているのは鮮魚部門ということになります。


人時生産性を算出するメリットとは?

人時生産性は1人当たり1時間の粗利益、つまり純粋な付加価値を表せます。そのため、期間や人数、利益額が異なる労働を一度に比較・評価できることがメリットです。

よく似た言葉として挙げられる労働生産性と比較してみましょう。労働生産性を算出する計算式は「生産量÷労働量」です。ただし、計算式に当てはめる指標によって、導かれる結果も意味も変わります。単純に生産量といっても付加価値額や一定期間で得られた利潤を入れたり、労働量に日数や時間数を入れたりできるのです。そのため、労働生産性は期間など分析したい対象に特化した効率性をみるのに適しているでしょう。

スーパーマーケットの人時生産性を計算・分析するときのポイント

会社単位で人時生産性を算出すると、結果は平均化されてしまいます。それでは部門ごとの分析や状況の把握ができないため、課題点を見つけにくくなります。人時生産性を経営判断に取り入れる際は、部門や売り場単位で計算・分析するのがポイントです。人の動きを細かく把握できるとともに、課題点の発見もしやすいでしょう。


例えば同じスーパーマーケット内の青果部門と鮮魚部門を分析したところ、人時生産性は青果部門のほうが低かったとします。数値として結果が出ることで、青果部門の人の動きになんらかの無駄があったと判断できます。


スーパーマーケットの人時生産性を向上させるための方法

ここからはスーパーマーケットでの人時生産性を向上させるには、「粗利益高を増やす」ことと、「総労働時間を減らす」ことが必要です。その方法について、付加価値作業と単純作業、付帯業務の分野に分けて具体的に解説します。


付加価値作業における向上方法

スーパーマーケットにおける付加価値作業は、「お客様が喜ぶこと」に関わる業務です。具体的には購買意欲をそそるような陳列演出やPOP、試食販売などの直接的にアプローチする業務や、利益を拡大させるために行う商談や会議、調査や分析、計画の立案などがあります。


人件費を削減する

付加価値作業は成果が見えづらいものです。そのために過剰に人員を配置し、結果として人時生産性を下げていることも考えられます。無駄な人員を抱えているのなら、人件費を削減することで当然、粗利益高を増加させられます。

ただし、むやみに人件費を削減すればいいというわけではありません。昨今の人手不足の影響もあり小売業の平均給与は上がっています。評価制度が曖昧になっていることで、過剰な給与を支払っていないかどうかを確認したり、業務量と適切な人時を正確に把握するなど、総合的に判断することがポイントです。


単純作業における向上方法

単純作業は質や出来映えを求めるというよりは、量や出来高を求める業務です。スーパーマーケットで対象となるのは加工や商品の補充、掃除などが挙げられます。限られた勤務時間で付加価値業務にかける時間を増やそうと思えば、単純作業を効率化する必要があります。


従業員を適材適所に配置する

スーパーマーケットの現場をみてみると、なかには効率の悪い動きをする人がいるのも確かです。そもそも本来なら別の分野が得意な人が不得意な業務に取り組んでいる結果、業務の効率が悪くなっていることもあるでしょう。

まずは従業員一人一人が持つ能力を見いだし、特性を理解する必要があります。能力や特性に合ったポジションに就かせることで同じ人物でも業務の効率がアップし、粗利益高の向上にもつながります。人材は適材適所に配置することが大切です。


付帯業務における向上方法

スーパーマーケットでの付帯業務としては、本部から各店舗への指示や連絡事項などをさばく業務などが挙げられます。いわゆるノンコア業務と呼ばれるものなどを指し、その業務自体では直接利益を生み出すことはありません。


無駄な作業を削減する

付帯業務でも店舗の運営には欠かせない業務もあります。しかし、人時生産性の向上を目指すなら、本来はしなくてもいいような無駄な業務が含まれていないか確認する必要があるでしょう。人時生産性を算出する計算式の分母は総労働時間であるため、積極的に労働時間を減らす対策を取ることが大事です。

無駄なプロセスを削減するためにITツールを活用するのもおすすめです。例えば、複数の店舗を展開する企業では本部と各店舗との間のコミュニケーションが欠かせませんが、この部分に大きな負荷がかかっているケースが多々あります。例えば、店長に届いたメールを店長自ら必要な部門長に転送する、などはよくある例ではないでしょうか。そういった場合に適したツールをうまく活用することで、処理時間を効率化させることが可能です。

ネクスウェイではチェーンストア特化の本部店舗コミュニケーションツール「店舗matic」の提供と多くの支援実績も元にした運用ルールのご提案などを通して、情報処理業務の削減をお手伝いしています。


  店舗matic|チェーンストアのコミュニケーション改善【株式会社ネクスウェイ】 店舗maticは、チェーンストアを展開されている企業様のための、本部と店舗間をつなぐコミュニケーションツールです。「意思を持って作動する」という意味を持つ“matic”の名の通り、業務効率化に向けて店舗が主体的に行動できる環境づくりをご支援。アパレル、スーパー、雑貨、化粧品など、多様な小売業の現場の臨店業務を効率化します。 チェーンストアの店舗運営DX/ネクスウェイ


スーパーマーケットの人時生産性を向上させる際の注意点

実際にスーパーマーケットの人時生産性を向上させる取り組みを進める際は、以下の段落で取り上げる3つのポイントに注意してください。


改善の根拠となるデータが正確か確認する

人時生産性の改善を検討する際、そもそも根拠のデータが間違っていれば意味がありません。データが正しくなければ改善するどころか、間違った方向に進み、結果的に人時生産性の向上につながらない可能性もあります。

人時生産性の数値を間違いなく算出するためには、粗利益高はもちろん、勤怠管理を徹底して従業員の労働時間を正確に把握することが大事です。業務の改善を図ろうとするときは、まず改善を主張するための根拠となるデータに正当性を持たせる必要があります。


従業員の意見も拾い上げる

実際に人時生産性向上のための施策を考える際、経営者側だけで決めてしまわないようにしましょう。従業員にヒアリングし、率直な意見など現場のリアルな情報を収集することが大切です。

個々の特性を見極めることなく、従業員の声も無視してやみくもに人件費をカットするとかえって従業員に不信感を与え、優秀な人材が退職してしまうリスクもあります。従業員それぞれの声や成果を把握したうえで、施策を実行しようとする意識が大切です。


運営側のオペレーションを改善する

店舗スタッフの意識改革を促すことで作業効率を向上させられればいいですが、難しいのが現実です。それならば運営側のオペレーションを見直すことを考えるほうが、作業効率のアップにつながります。

無駄な部分があれば削ぎ落としつつ、ツールを活用できる部分があれば導入して業務の効率化を図るなど、運営側で生産性を高められるようにオペレーションを改善していくべきです。決められた業務を淡々と作業するだけでいいようにしておくと、店舗スタッフは安心して業務にあたれます。


まとめ

従業員1人が1時間でどれくらいの粗利益を上げたのかを示す人時生産性は、スーパーマーケットの経営を考えるうえで重要な要素です。部門ごとの課題を発見し、生産性向上にもつながります。

「株式会社ネクスウェイ」では、チェーンストア企業向けの情報通信サービスを提供してきました。本部と店舗間のコミュニケーションや業務効率化など、店舗を運営していくうえで直面する課題解決に役立つツールやアプリを用意しています。貴社の「人時生産性向上」に、株式会社ネクスウェイのツールやアプリをぜひご活用ください。


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安田美弥子
安田美弥子
株式会社ネクスウェイ 販売支援事業部。 2018年3月入社。以前は直営店を多店舗展開するメーカー勤務。店舗・本部両方を経験し、小売業をITの力でもっと魅力ある業界にしたいと思いネクスウェイに入社。平日はオペラや歌舞伎鑑賞、土日は山・海に出かけ、止まれない回遊魚のような生活を送る。

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