チェーンストアにおけるタブレット元年!店舗でどう活用する?
こんにちは。『良いお店創りブログ』編集長の坂本です。
2010年4月(日本は5月)にiPadが登場して、はや3年が経とうとしています。
この約3年の間、各チェーン企業は、iPadなどのタブレット端末の活用法について試行錯誤をしていましたが、最近になってようやく、活用法を見出し、地に足のついた実践をできる企業が増えているようです。
今回は、その背景とタブレット端末の活用法を検討する際のポイントについて書きました。
チェーン企業におけるタブレット端末活用の現状と課題
昨年(2012年)くらいまでは、タブレット端末活用の成功例とも呼べる企業も何社かありましたが、これといって地に足iPad,タブレット,売上,活用のついた活用法を見出し切れていなかった(よって試験運用から導入を躊躇していた)チェーン企業のほうが多かったように思います。
しかし最近、各チェーン企業を訪問すると、全店でタブレット端末の導入が決定した、あるいは、具体的に導入検討をスタートさせた、という企業が非常に増えていることに気付かされます。
さらに、タブレット端末発売当初に懸念されていた盗難リスクや、セキュリティリスクをうまく回避できるアプリケーションや仕組みも充実してきており、今後はより一層タブレット端末を活用するハードルが低くなっています。
こういう観点から、今年(2013年)がチェーンストアにとっての真のタブレット元年になると言えるでしょう。
店頭でタブレット端末を活用する際に是非考慮したい2つのポイント
とは言うものの、今年はまだ黎明期。さらなる売上アップやコスト削減を目指し、より良くタブレット端末を活用するために注意すべき点や、何から始めるべきかを検討・計画する必要があります。
まずは、私がこれまで何社かの導入を見てきて気付いた、特に注意すべき点を以下に2つ挙げました。
(1)バズワードにとらわれすぎないこと
「O2O(online to offline)」や「オムニチャネル(店舗やECサイトなどの境目がない状態で買い物をすること)」というキーワードを最近よく耳にしますが、様々な情報に触れると、どうしても考え方が“提供者側の目線”になってしまっている傾向があるようです。
流行のワードだから、競合他社も始めているから、という理由で、「O2O」や「オムニチャネル」に対応しようとしても、実際店舗で使いこなしたり、想定どおりに消費者に動いてもらえたりしているのか、懐疑的なことも多いように感じます。
「O2O」や「オムニチャネル」などは、あくまでも「手段」であって「目的」ではありません。それを誤解したまま「テーマ設定」だけしてしまうと、無駄な投資になってしまいかねないのです。
(2)“売れる瞬間”にタブレット端末がどう活きるのか、具体的にイメージすること
「タブレット端末の活用が、店頭での消費者の消費行動に素直に沿っているのか(消費行動を阻害する要因になってしまっていないか)。店舗オペレーションを複雑化させてしまっている要因になっていないか。」
こういう視点でタブレット端末の活用法を振り返ってみてはいかがでしょうか。
タブレット端末の導入は、コスト削減と売上アップ、どちらにも効果を出すことができます。ただし、いくつかの先行例を見てきて、“チェーンストアにおいては業務効率化・コスト削減を目的として使用するのではなく、売上を創出するという観点で活用したほうが、タブレットの価値は活きやすい”、と私は考えています。
なぜなら“情報を持ち出せる”“どこでも見ることができる”というタブレット端末の特長より、 “見せる(魅せる)”“コミュニケーションの補助になる”特徴の方が、消費者と一日中接している店頭においては活用できる時間が多く、レバレッジが効くからです。
商品をより良く“見せる(魅せる)”。ブランドの良さをより良く“見せる(魅せる)”。
各種キャンペーン情報などを、消費者にわかりやすく“見せる(魅せる)”ことで“コミュニケーションの補助とする”。
バズワードにとらわれることなく、このような“売上アップに直結する観点”で、タブレット元年をどう過ごすのかを考えてみてはいかがでしょうか。