
本社 | 東京都品川区大崎1-11-2 ゲートシティ大崎イーストタワー17F |
|---|---|
設立 | 1999年10月 |
代表者 | 清水 俊英 |
事業内容 | 複合型映画館の建築・運営 |
資本金 | 1億円 |
店舗数 | 42劇場(2025年6月 現在) |
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株式会社ローソン・ユナイテッドシネマは、全国に42の劇場を展開する映画興行会社だ。同社の最大の強みは、IMAX、4DX、ScreenXといった「ラージフォーマット」を積極的に導入し、よりコンテンツに没入できる仕組みを追求している点。「ローソン・ユナイテッドシネマ STYLE-S みなとみらい」では全スクリーンに世界初となる座席一体型サウンドシステム「【FLEXOUND Augmented Audio (フレックスサウンド)】」を導入するなど、新しい映画体験の提供に挑戦し続けている。2024年に社名変更し「ローソングループの一員」であることを鮮明に打ち出し、ブランド力とグループシナジーを一層強化している。
本部の体制変更により、劇場へ伝達される情報量が急増。タスク管理業務の負荷が高まり、許容量を超えていた
>自動でタスクが整理されるほか、劇場内の情報共有も一元化され、タスク管理が容易に
>新任の支配人や中途採用の社員の業務の立ち上がりがスムーズに
>タスクが平準化され、経験や慣習に依存しない共通基準で劇場運営が可能に
>業界特有の「ブッキング情報」が専用フォーマットで統一され、視認性や確認精度が向上
メールや電話による進捗確認やリマインド業務が膨大であった
統一されたフォーマットやツール、情報発信に関するルールが整備されておらず
「分かりやすさ」や「視認性」といった情報の質が担保されていなかった
>自動リマインド機能により店舗の指示実施率が改善され、リマインド数が大幅に減少
>過去のお知らせ文面をコピーして編集できるようになり、情報発信が効率的に
>情報の質に対する本部側の姿勢も変わり「劇場ファースト」な情報発信の意識が浸透
背景・選定の経緯

劇場と本部の橋渡し役として業務サポートを担う営業推進部 部長の坂口氏は、GGM(グランドゼネラルマネージャー)を務めていた2019年頃から、劇場の業務量過多という問題に直面していた。坂口氏は「当時は過去最高の動員を記録する一方で、劇場のコアビジネスである接客に集中できない状態が続いていました。そこで、売上報告など本部で一括処理できる業務を集約する『巻き取りサポート部隊』を創設。現場の負担軽減を図ったのです」と振り返る。
その後、2023年に部署制から本部制へ移行。各分野に明確なKPIが設定され、売店や貸し館、広告など映画以外の収益機会も積極的に追求する体制が整えられた。しかし一方で、本部から劇場へ伝達される情報量は急増。量だけでなく質も高度化し、メール・電話など、従来の方法では処理しきれない状況に。単純な巻き取りだけでは追いつかなくなり、「情報整理」が次の課題として浮上していた。
営業推進部 マネージャーの鈴村氏は「劇場勤務時代、タスクを整理し、進捗を確認する作業は煩雑さを極めました。報告漏れや確認不足も起こりやすかったですね。明らかに許容量を超えている感覚がありました」と語る。
本部側でも、連絡のタイミングや内容について営業推進部に相談が多数寄せられた。「部署に合った提案はできるのですが、統一されたフォーマットやツールがないため、場当たり的な対応に終始してしまっていました。また、『本部から劇場へのリマインド数がとにかく多い』という問題も解決できないままでした」と坂口氏は言う。
「とくに新任の支配人や中途採用で入社したばかりの社員は、現場の業務を把握するのに苦労していました。その日に何をすべきかを明確にするために、膨大なメールをすべて確認しなければならなかったのです。」(坂口氏)
こうした潜在的な課題を抱えていたとき、展示会で出会ったのが「店舗matic」だった。当初はタスク管理ツールを探していたわけではなく「ベストプラクティスを迅速に横展開できる」という説明に心を動かされた。しかし、同じく展示会に参加していた、当時GGMになったばかりの別の社員から「現場では情報量やタスク管理が大きな課題になっている」という話を受け、自動タスク管理もできる「店舗matic」が、「本部と劇場双方の課題解決に役立つのでは」と導入を決めたという。
導入にあたっては、ネクスウェイからの提案もあり、劇場側へのヒアリングやアンケート調査を用いて、現状を整理することから始めた。「感覚ではなく、数値として示されることで社内への説明もしやすくなりました。さらに、『現場が確かにこうした課題を抱えている』という共通認識が醸成されたのは大きかったです」と坂口氏は話す。
「情報発信の方法を変えるのは相当な覚悟が必要。一部署でもNOと言えば、どんなに良いシステムを導入したとしても破綻する恐れがあります。ですが、アンケートの数字や実績などの後押しもあり『店舗matic』の導入に対して反対する者はいませんでした。ローソングループには『仲間を想い、ひとつになろう』というスローガンがあります。まさに『課題を解決できるのならば、一丸となって協力し、「店舗matic」について学ぼう』という風潮が生まれたのです。ネクスウェイさんの『攻めのサポート』のおかげですね」(坂口氏)
【導入の効果】
ローソン・ユナイテッドシネマが「店舗matic」を導入してから約半年。まだ運用の途上にあるものの、現場や本部からはすでに「なくてはならない存在」という声が上がっているという。
「店舗matic」では回答期日の設定や自動リマインド機能が活用できるため、送信側・受信側ともに効率的にやりとりができるようになり、リマインド業務が格段に減少。さらに半年間の利用で通知やお知らせが蓄積され、過去の文面をコピーして編集すれば、素早く新しいお知らせを作れるようになった。こうした小さな工夫の積み重ねが、本部と劇場双方の業務改善につながっている。
「特筆すべきは、ネクスウェイさんと相談を重ねながら設置した『劇場内共有掲示板』です。現場や本部の声を受け、劇場内で発生する細かな連絡やスタッフの成果を共有する仕組みを「店舗matic」内に構築し新たに導入しました。たとえば、『水曜日に来館予定のお客さまに落とし物を返す』といったささやかな依頼も、掲示板に記入しておけば、休日明けのマネージャーでもすぐに把握可能。従来はメールやノートに記録されていたため、見落とされるリスクがありましたが、掲示板によって業務の連続性が確保されました」(坂口氏)
こうした成功の要因は、導入初期の準備と運用ルール化の徹底にあるという。「導入当初の1か月間は各部署からの質問や改善要望が殺到し、通常業務ができないほどでした。しかし、中途半端に始めれば『使えないツール』という烙印を押されてしまう。そこで、要望を丁寧に拾い上げ、調整やカスタマイズを繰り返しました。結果、共有掲示板のような新機能が生まれましたし、結果的に良いPDCAを回せていたと思います」と鈴村氏は述べる。
【店舗の声】
ある劇場の新任支配人は、異動直後に「店舗matic」の運用が始まった。業務や劇場の状況についても不慣れで不安を抱えていたが、タスクが整理されて表示される「店舗matic」により、何をいつまでに行うべきかが明確になり「今このツールがなかったら考えられない」と語っていたという。
「タスクが平準化されることで、経験や店舗ごとの慣習に依存せず、誰もが共通の基準で業務を進められるようになりました。異動したての支配人や中途採用の社員でも『最低限やるべきことが「店舗matic」を見れば分かる』という安心感を得られるようになり、プラスアルファの業務に取り組めています」(鈴村氏)
属人化により、支配人も確認しきれていなかった業務が「店舗matic」上で見える化されることで、業務の全体像の把握にも繋がっている。また坂口氏は、映画館ならではの課題であった「ブッキング情報」の管理についても触れている。

営業推進部
マネージャー 鈴村氏
「映画館では毎週4〜5本の新作が公開される上、劇場ごとに上映作品やタイミングも異なります。解禁日や関連物販の情報も含めれば、以前は劇場に大量のメールを送らなくてはなりませんでした。『店舗matic』では、ブッキング情報を専用フォーマットで統一。視認性や更新・確認の精度を大幅に上げることができ、劇場側からも『フォーマットができたことが最大の効果』と高く評価されています」(坂口氏)
【今後の展望】
劇場は365日シフト制で動き、本部はカレンダー通りに稼働する。この働き方の違いが、従来は情報共有において齟齬を生んでいた。「店舗matic」は「いつまでに誰が何をするのか」を明示し、自動でスケジュール管理を行うことで、そのギャップを埋める役割を果たしている。
鈴村氏は「『店舗matic』の導入をきっかけに、本部側の情報発信の姿勢も大きく変化しました。従来は劇場にとって不要な連絡や分かりにくい情報も一部見受けられたが、現在は『劇場が受け取りやすい形で伝えるにはどうすればよいか』と考える意識が浸透しています。いかに現場での行動に直結するタスク設計を行うか。そう考えるきっかけになったという意味でも『店舗matic』を導入して本当によかったです」と語る。
今後の目標は「売場ノート機能を使ったベストプラクティスの共有」だ。劇場ごとの成功事例をSNSのように簡単に発信し合い、横展開する仕組みを作ることで、モチベーション向上や新たなアイデアの創出を狙う。また、現在クレジット決済の取り消しや物販関連の問い合わせなどを含め、50個ほどの業務アプリを利用しているが、その他の業務のアプリ化も検討しているという。
「やはりまだ、劇場の中でも活用度のバラツキはあります。さらなる展開のため、『店舗matic』の機能を上手く活用できている事例をロールモデルとして紹介し、劇場同士で情報交換できるような仕組みを作っていきたいです。ヒット作が多く、異例ともいえるほどの多忙さだったこの数か月、それでもお客さまの前にしっかり立つことができたのは『店舗matic』があったからこそだと思いますから」――そう坂口氏は展望する。
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