本 社 :広島県広島市南区段原南1丁目3‐52
設 立 :1982年3月5日
資本金 :17億24百万円(2021年12月現在)
代表者 :代表取締役社長 平尾 健一
事業内容 :食料品及び日用雑貨用品の小売販売
ホームページ:https://www.maxvalu.co.jp
兵庫県、中・四国地方に物流網を構築し、約400店舗のスーパーマーケットを展開。地域に根差したスーパーマーケット「マックスバリュ」、生鮮産品に強みを持つ「マルナカ」、高品質の製品を低価格で提供するディスカウントストア「ザ・ビッグ」の経営、および買い物弱者の救済を目指した移動販売や無人店舗にも取り組むなど、「旬」「鮮度」「地元」に注力している。
背景
兵庫県から山口県、四国4県と山陰では島根にわたり、西日本の広域にスーパーマーケットを展開するマックスバリュ西日本。
自前の物流網を有する同社では、旬の生鮮産品の地産地消や、買い物弱者支援のための移動販売など、地域密着型の経営を進めている。その一環として取り組んだ「無人店舗」の実証実験に用いたのが、ネクスウェイの「売場ウォッチ」だった。
マックスバリュ西日本 ノンストア推進部が地域貢献のために取り組んできたのが「移動販売」だ。
ノンストア推進部 部長の平岡英樹氏は、2013年に始めた移動販売について、「出店が難しい地域に住む買い物弱者を救いたい、という思いがきっかけでした」と説明する。
そして2021年、ノンストア推進部が取り組む新たな試みが「無人店舗」だ。
そのメリットについて平岡氏は、「通常の店舗では事業として成り立たない地域でも、必要最低限の品ぞろえ、店構えで始められます」と説明する。
出店のハードルが低い無人店舗であれば、地域の役に立てるだけでなく、移動販売車との連携も可能だ。
今後普及が進めば、小売業と地域にとって「Win-Win」の事業にもなりうる。またコロナ禍にあって、人との接触を減らせる無人店舗への関心も高かった。
実証運用段階にある無人店舗には、企業や事業所の従業員が利用する「オフィス型」と、学校などに設置する「ミニ売店型」がある。入退店管理には、マックスバリュ西日本のスマホアプリ「My-Pi」が活用されており、商品管理については、近隣の有人店舗のスタッフが補充、陳列を行っている。支払いはキャッシュレス決済とし現金リスクをなくしている。
平岡氏は無人店舗に「その革新性と利便性には、感動と笑顔を生み出す力がある」と期待している。実際、2021年にミニ売店型の無人店舗を設置した広島美容専門学校からは、「昼食時、校外の店に行く必要がなくなりしっかり休み時間も取れた」「商品がコンビニよりも安価で驚いた」という好意的な意見が届いている。さらに、人と接する必要がないために、生理用品なども買いやすいなど、想定外の高評価も得ているという。
ノンストア推進部 沖中優宜氏は
「無人店舗は山間部などの過疎地での利用を想定していましたが、都市部でも買い物に困っている方がいることが見えてきました」と口にする。
このように、無人店舗の実験は反響も大きく、いろいろな企業から「私たちの事業所内にも無人店舗を設置できないか」という打診を受けているという。
無人店舗の設置、運営にあたって、平岡氏は3つの課題を挙げる。
1つ目はリアル店舗以外のお客さまのニーズの収集。
2つ目が、無人店舗の設置時に行う交渉を円滑にするための「ビジネスモデルスキームの作成」。
3つ目は、新規出店の際の「初期投資のコスト」である。
これらの課題解決のひとつにつながると期待されたのが、ネクスウェイの「売場ウォッチ」だった。これは店内に設置したカメラの映像をクラウドに蓄積し、いつでもどこからでも店舗の状況を確認できる仕組みだ。15分ごとに静止画を撮影するほか、音声付きのライブ配信も可能となっている。
一般的に店頭には防犯カメラが設置されることが多いが、高機能、多機能であるものの高額だ。対してコストパフォーマンスに優れた売場ウォッチは機能がシンプルであるものの、「アイデア次第でいろいろな活用ができます」と平岡氏は説明する。
沖中氏は、「無人店舗の売れ行きがリアルタイムで確認できる」という点を高く評価した。
「以前は前日の売上実績を確認していたため、現時点で陳列している商品の在庫数がわからず、母店と無人店舗の間を2往復、時には3往復することもありました。しかし、リアルタイムな売れ行きが目視できる売場ウォッチを導入してからは、1往復で済むようになりました」(沖中氏)
カメラの設置位置も自由に変えられる点も魅力的に映った。コンパクトなカメラは天井のライトレールなどにも取り付け可能で、無線LAN対応機種も選べる。
「設置時に工事が必要ないので、導入先施設に穴をあけたり工事することもありません。企業のお客さまから無人店舗出店の相談を受けたときも、お客さまの施設を工事することなく交渉しやすくなります」(平岡氏)
導入4か月を経て、売場ウォッチは商品補充等のオペレーション面でもセキュリティ面でも最適なソリューションであることが、社内の共通認識となっているという。
現在は、沖中氏がいろいろなところに売場ウォッチのカメラを取り付けて、さまざまな検証を行っている段階である。
「店舗の環境、商品の売れ行きなどにあわせて、柔軟に工夫できるのが、売場ウォッチのいいところだと思います。
『夏場は飲料が売れるので、飲料の棚が確認しやすい場所に移す』といったことも気軽にできます。ズーム機能で見たい部分の拡大も可能です」(沖中氏)
売場ウォッチの機能のうち、特に役立つと感じるのは売場の状況を複数のデバイスで見られる点だ。
その利点を平岡氏は「商品補充スタッフであっても、現場の状況をスマートフォンで確認できるため、補充が必要な商品をあらかじめ確認できます」と説明する。
また「指定した時間の画像を一発で検索できるのもメリットでした」と平岡氏は語った。
防犯カメラの場合、特定の日時の映像を見たいときは早送りしたりスロー再生したりと労力がかかっていた。しかし売場ウォッチは、時間指定をすれば見たい現場、商品の状況がすぐに確認できる。
複数店舗の状況を一元管理できる点も、将来的に役立つ機能として期待しているという。
ある商品を一斉に入れ替えたり、陳列の方法を変更するとき、有人店舗であればスタッフが対応できるが、無人店舗ではそうはいかない。そこに売場ウォッチを使えば、各店舗の状況をまとめて確認できるようになるわけだ。
もともと売場ウォッチは、各店舗を回るエリアマネージャが、移動せずにどこからでもそれぞれの売場の状況を確認する用途を想定して、検討していた。それを「無人店舗でこそ役立つのではないか」とノンストア推進部に紹介してきたのは同社の情報システム部だった。
その後、ノンストア推進部とネクスウェイとの間で相談しながら、売場ウォッチの活用を進めてきた。
現在2店舗で運営している無人店舗は、今後、山間部などのいろいろな場所に展開して、買い物弱者を支援していく考えを持っている。
POSデータだけではわからない、店舗の現場で今起きている売場の実態をWEB上でリアルタイムに見ることができる。
さらにそれが安価にできることに可能性を感じているという。
「なぜ品切れがおきているのか、なぜ過剰在庫になっているのか、ということはPOSの数字データのみでは判断ができません。その時の売場の状況がわからないと正しい判断が出来ない可能性があります。仮に1万SKUすべてについてPOSと画像データ両方のチェックができるようになれば、無限に経営効率を改善することも可能だと考えています。」と平岡氏は語る。
一方、沖中氏は売場ウォッチが無人店舗のオペレーション確立を担う重要な要素となると考えている。現状は出店先それぞれの事情や要望に都度合わせて提供しているが、今後、無人店舗を増やしていくにあたり、必要な人件費で欲しい商品を安定して提供できるノンストアならではのオペレーションの型を確立させる必要がある。そのためには現場の状況把握が欠かせず、その把握のために売場ウォッチは必要不可欠だと話す。
「出店が増えれば本部が情報を集約し指示を出す際に、POSと組み合わせて画像から情報を収集することが必要になると思います。店舗が増えたときに店長とコミュニケーションをとっていくためには、画像がないと難しいだろうと思います。
もうひとつ、好事例を画像で共有し標準化していくことにも活用できるのではないかと考えています。」
現在導入2店舗で補充方法の検証を続けている。従来の方法だとPOSデータのみで1つ売れたら1つ補充する。などルールを決め、それに沿ってシステマティックに判断や作業をしていたが、、細かすぎるルールを決めてもやりきれないのが現実だ。一方でもう少し柔軟な判断で運用できないか?補充方法を模索している。あえて実績データを用いず、売場ウォッチの画像だけで補充商品を判断し、実際に補充を行っている。大きな問題もなく比較的スムーズに機能しているという。店長が画像を見てコメントやアドバイスをすることで、店長が売場にいる実店舗と同等な判断が可能になっているようだ。